山下美月の「コスプレ祭り」にさせない圧倒的な演技力と引き出しの多さに驚嘆!「弁護士ソドム」
今年5月に乃木坂46を卒業し、現在はモデルや女優として活躍している山下美月。山下といえば、乃木坂46時代、連続テレビ小説「舞いあがれ!」(2022~2023年、NHK総合ほか)にレギュラー出演し、現役メンバーでは初となる朝ドラ出演を果たした演技派で、卒業後もドラマ「Eye Love You」(1~3月、TBS系)、ドラマ「降り積もれ孤独な死よ」(7~9月、日本テレビ系)、映画「六人の嘘つきな大学生」(11月22日[金]公開)など、主要キャラクターとしてコンスタントに出演し続けている。そんな山下の演技力がじっくり堪能できるのがドラマ「弁護士ソドム」(2023年、テレビ東京系)だ。 【写真を見る】福士蒼汰と山下美月が共演した「弁護士ソドム」 同ドラマは、福士蒼汰演じる周りから「ソドム」と呼ばれる型破りな"詐欺加害者専門弁護士"の主人公・小田切渉の活躍を描いたリーガルサスペンス。山下は、渉が真の目的のために活動する"裏の仲間"の一員、元結婚詐欺師で変装が得意な三木天音を演じる。 詐欺師専門の悪徳弁護士として名を馳せている渉は、かつて詐欺師と戦いながらも道半ばで亡くなった弁護士の母親・翔子(高岡早紀)の死の真相を暴くため、詐欺師の弁護を引き受けて助けながら、情報を得た後、裏で詐欺師たちを破滅させていた。そんな中、母親を殺害した犯人に繋がる情報と出合い、天音ら"裏の仲間"と共に新たな詐欺師に近付く...。 ■さまざまな人物になりすます天音を演じた山下の演技のポテンシャル ダークヒーローとして新境地を見せる福士や、渉とは真逆の信念を持つ人権派の弁護士・若松まどかを瑞々しく演じる玄理の演技も見どころなのだが、渉の指示の下でターゲットの詐欺師側に潜入して情報を引き出す役どころの天音を演じる山下の演技が掛け値なしに素晴らしい。 ある時は、峰不二子のようなセクシーな女性に扮したかと思えば、特殊メイクを施して老婆に変身したり、他にも特殊詐欺のバイトをする金髪の今どきの女子大生や、色仕掛けで情報を引き出すコケティッシュな看護師、原告の注意をそらす真面目な看護師、裏口入学を請け負う大学創設者の親族、裏口入学詐欺の被害に遭った親、美容関係の研究者、戸籍を欲している客、政治家の秘書など、毎話さまざまな人物に扮する天音を熱演。 しかし、「ただの"コスプレ祭り"」と思うなかれ。山下はどの人物においても、話し方から所作に至るまで、全くの別人を演じ切っており、そのクオリティーの高さは、一瞬山下だと気付かないほどなのだ。 例えば、第1話の詐欺師の部下として暗躍する女性役では、セクシーなドレスに身を包み、体をくねらせながら歩いて、もっちゃりした口調で妖しさ全開の女性を表現。渉の"裏の仲間"であることが明かされるまでは、詐欺師側の人間だと信じ切ってしまうほどで、視聴者に対するミスリードの一役を担っている。さらに、老婆役では腰を曲げた老人ならではの姿勢だけでなく、ゆっくりとした動きや口調で、注視しても山下だとは分からないレベルだ。他にも、今どきの女子大生ならではのセリフ回しと気だるげな動き、研究員らしい毅然とした態度と話し方、同情を誘う詐欺被害者など、キャラクターごとにそれぞれ演じ方を変えており、その表現力の豊かさと幅の広さ、引き出しの多さに、誰もが驚嘆することだろう。 詐欺師専門に弁護を引き受けている渉の真の目的やラストに明かされる犯人の正体など、さまざまな謎を追いながら、要所要所できらめく演技を披露する山下の高過ぎる演技のポテンシャルにも注目していただきたい。 文=原田健
HOMINIS