マツダ「次期RX-9」登場に現実味、縦置きツインローターRotary-EVの実機公開で開発幹部が意欲!
マツダ、トヨタ自動車、スバルが5月28日、次世代エンジンについて「三社三様」の開発動向に関して会見を開いた。マツダはロータリーエンジンを使う新型EV(電気自動車)ユニットを世界初公開した。また、マツダ幹部は同ユニットを活用した次世代スポーツカー量産に向けた夢を語った。(ジャーナリスト 桃田健史) 【この記事の画像を見る】 ● モータースポーツ展開も視野! マツダの新戦略に期待高まる 「(記事には)書かないでほしい」 マツダのデザイン分野のフェローで、マツダ本社直轄のモータースポーツ活動「マツダスピリットレーシング」を統括する前田育男氏が、そう前振りをしてから次世代スポーツカーについてコメントした。 「将来的には、(国際基準の超高性能カテゴリーの)GT3やGT4にも挑戦したい」という。 つまり、次世代スポーツカーを量産したいという意思が込められている。 この発言は、国内最大級の耐久レースである、スーパー耐久2024シーズン第2戦の「富士SUPER TEC 24時間レース」決勝前、自動車メーカー各社幹部が報道陣の質問を受ける場でのことだった。 「書かないでほしい」と言われても、会見の模様は、主催者のオフィシャルYouTubeでも生配信されており、オフレコ発言として扱うことは実質的に不可能だ。 前田氏もそうした状況を十分に承知した上で「マツダとしてのオフィシャルコメントというより、自分がかなえたい夢の話」という文脈で捉えてほしいという気持ちでの発言となったと理解するべきだろう。
● 次世代スポーツカーとは 何を指しているのか? 前田氏が言う、次世代スポーツカーとはマツダは昨年秋に開催された「ジャパンモビリティショー2023」で世界初公開した「MAZDA ICONIC SP (マツダ アイコニック エスピー)」を指す。 ボディ寸法は、全長4180mm×全幅1850mm×全高1150mm、ホイールベースは2590mmで車両重量は1450kgだ。 その雰囲気から次世代の「RX-7」、つまり「RX-9」をイメージさせる実にマツダらしいデザインテイストを感じる。 また、近年のマツダ車のネーミングを考えると「RX-90」と言えるかもしれない。 最大の特徴は2ローター Rotary-EV(ロータリー イーブイ)システムを搭載することにある。 マツダは15年の東京モーターショーで、ロータリーエンジンを搭載したロータリースポーツコンセプト「RX-VISION」を公開して世界から注目を集めたが、結局同モデルはゲームソフトのグランツーリスモの世界でのみ活躍し、実車が量産されることはなかった。 そのため、今回の「ICONIC SP」についても、前田氏の「個人的な夢の話」という表現に見られるような架空の存在で終わってしまうのではないか、という声がマツダファンの間では少なくなかった。 一方、マツダ幹部は直近で、「ICONIC SP」量産の可能性について否定はしていない。 その証しといえるのが、ツインローター Rotary-EV実機の存在だ。 マツダ、トヨタ、スバルの3社共同で5月28日、都内で開催した「電動化時代の新たなるエンジン開発を三社三様で宣言」という記者会見の場で世界初公開された。 公開されたのは、2種類のユニットである。 ひとつは、発電用のシングルローターと新たな電気駆動ユニットを横置きにしたものだ。 シングルローターのロータリーエンジンを発電機として使う手法は、「MX-30 Rotary-EV」で量産されている。同モデルの場合、内燃機関のエンジンを使ったマイルドハイブリッドがベースであり、それをEV向けのレンジエクステンダーに改良するという経緯で設計された。 一方、今回登場した新型ユニットは、純粋に「ロータリーエンジンありき」での電動ユニットであるため、パワーユニット全体としてかなりコンパクトな仕上がりになっているのが特徴だ。