洗練されたメジャーのエンタメ「ラストマイル」:総まくり2024 年
2024年もたくさんの映画が、私たち映画ファンを楽しませてくれました。ひとシネマのライター陣が、映画、動画配信サービスの作品から今年の10本、そして2025年への期待を語ります。 【写真】日本映画に新しい風 「HAPPYEND」の一場面
映画記者・鈴木隆さんが選んだ今年の10本
「リッチランド」(アイリーン・ルスティック監督) 「オッペンハイマー」(クリストファー・ノーラン監督) 「悪は存在しない」(濱口竜介監督) 「人間の境界」(アグニエシュカ・ホランド監督) 「ありふれた教室」(イルケル・チャタク監督) 「ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ」(アレクサンダー・ペイン監督) 「ラストマイル」(塚原あゆ子監督) 「SUPER HAPPY FOREVER」(五十嵐耕平監督) 「HAPPYEND」(空音央監督) 「二つの季節しかない村」(ヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督)
デジタル時代の難しさ映した外国映画
心躍らせ食い入るように見入った2024年の作品に、心からの感謝を。大作からインディペンデント、さらにその先まで百花繚乱(りょうらん)、映画の醍醐味(だいごみ)を堪能できた。日本映画は「ナミビアの砂漠」の山中瑤子監督ら若手の力作が相次ぎ、新しい風を何度も感じた。その一方で、東宝や松竹などメジャーからも洗練された作品が見受けられた。「ラストマイル」や「九十歳。何がめでたい」など安定感のあるエンターテインメントが支持され、新たな観客層を創出したことも喜びたい。外国映画は改めて世界に現在はびこる問題、デジタル時代のコミュニケーションの難しさ、生きることに真摯(しんし)に向き合う作品に出合えた幸せを満喫した。
映画記者 鈴木隆