「THE NORTH FACE」ハイスペックモデル「Mountain Down Jacket」とブランドのルーツが感じられる「CAMP Sierra」の歴史を紐解く
レイヤリングを科学するエクスペディションシステム
Mountain Down Jacketのルーツを知るにはもうひとつ、Mountain Jacketのエクスペディションシステムというものを知ってもらいたい。これについても引き続き伺っていこう。 「エクスペディションシステムというのはレイヤリングのことで、たとえば8,000m級の登山をするときに『いかに快適に登山ができるか』ということを、いろいろな商品の組み合わせで実現していくというものです。なかでも“ジップインジップ”という仕様は、製品の内側にジップがついており、対象のフリースジャケットやダウンジャケットなどが連結でき、登る山や季節に合わせて装備を変えることができるようになっています。 『レイヤリングを科学する』と私たちは呼んでいて、そこから商品開発を進め、みなさんもよく知る『Nuptse Jacket(ヌプシ ジャケット)』なども発売されていき、エクスペディションシステムのアイテムが広がっていきました。このMountain Jacketも2000年以降、デザインがどんどんアップデートされて現在に至っています」
冬のアウトドアやタウンユースの定番Mountain Down Jacket
Mountain Jacketとレイヤリングシステムのお話を伺ったところで、いよいよMountain Down Jacket誕生に話を進めよう。 「1997年頃、山岳ガイドが着る用に作られた、『Mountain Guide Jacket(マウンテン ガイド ジャケット)』が誕生します。このアイテムはシェルタイプでダウンは入っておらず、Mountain Jacketとデザインが酷似しているもので、その後このモデルにダウンが搭載された、『Down Mountain Guide Jacket(ダウン マウンテン ガイド ジャケット)』が生まれます。これが前身となりMountain Down Jacketが誕生しました。レイヤリングシステムで高い性能を発揮したその組み合わせが、一着で済むように作られたものになります。 Mountain Down Jacketの特徴としては70デニールの2層のタスランナイロンを使ったGORE-TEXで、これは先ほどお話ししたMountain Jacketにルーツがあり、防風・防水仕様になっています。質感はコットンタッチでツヤを抑えた見た目なので、カジュアルにも使いやすいアイテムになっています。 1990年代に誕生したDown Mountain Guide Jacketは一度ラインナップからなくなるのですが、2016年にアメリカで再度発売、翌年日本では名前をMountain Down Jacketと変更し現在に繋がっています。2018年のモデルより中に使っているダウンは『GreenRecycled CLEANDOWN(グリーンリサイクル クリアダウン)』の650フィルパワーのものを使っています。 『河田フェザー』という会社がダウン衣料や羽毛布団などを回収しリサイクルしているのですが、この会社のダウンリサイクル技術は世界的に見てもレベルが高く、リサイクルとはいえ、実際は再生素材を有効活用し新しくより高品質な素材にアップサイクルされています。さらに裏地には軽さと柔軟性・耐久性を持ち、かつ高密度に織り上げられている『PERTEX QUANTUM(パーテックス クワンタム)』というナイロンを使い、全体的に高スペックに仕上がったアイテムになっています」
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