喪失感を抱えた主人公が踏み出す、人生のちいさな一歩 猫と優しさと静かな時間に満ちたスローシネマ 映画『ヒューマン・ポジション』
ノルウェー発のスローシネマ、映画『ヒューマン・ポジション』の本予告映像とポスタービジュアルが公開された。 本作は、病気の療養から復職した新聞記者がなにげない日常や社会との繋がりから心の居場所を見出してゆく、猫と優しさと静かな時間に満ちたスローシネマ。 青くて、物悲しいノルウェーの長い夏。新聞社に勤めるアスタは、ホッケーチーム、アールヌーボー建築を保存するための小さなデモやクルーズ船の景気など地元の人々を取材しニュースにする。彼女の支えとなるガールフレンドのライヴは、デザインチェアを修復し、キーボードを演奏し、作曲をする。子猫が歩きまわる家で、料理を作ったり、古い映画を観たり、ボードゲームを楽しんだりと2人は穏やかな時間を過ごす。そんなある日、アスタは10年間ノルウェーに住み、働いてきた難民のアスランが強制送還されたという記事を目にする。その事件を調べて行くにつれ、アスタは自身を覆っていた無気力感を払拭し、仕事とプライベートの両方で自分が求める”心の居場所”を次第に見出していく。 監督は、本作が長編2作目となるノルウェー出身のアンダース・エンブレム。フィヨルドに囲まれ、絵画のような色彩豊かな風景で「ノルウェーで最も美しい街」と称される監督の故郷オーレスンを舞台に、主人公の心の機微や日常を丁寧に描く。自身のインスピレーションの源としてロベール・ブレッソンと小津安二郎を挙げるエンブレム監督は、劇中でも『お茶漬けの味』のセリフを登場させる。 主人公アスタを演じるのは、エンブレム監督のデビュー作『HURRY SLOWLY(原題)』に続いて再タッグを組むアマリエ・イプセン・ジェンセン。トラウマを抱える心の揺らぎや内に秘めた聡明さを、透明感を放ちながら抑制のきいた演技で表現する。彼女に優しく寄り添うライヴ役にはマリア・アグマロが扮する。 映画『ヒューマン・ポジション』は、2024年9月14日(土)より全国順次公開。
otocoto編集部