アギーレジャパンの「選考」は言い訳?
なんと厳しい監督なのか。代表初キャップの選手や2、3試合目の選手ばかりを並べ、あろうことかブラジルとの海外でのゲームで「こうした逆境の中で選手を見た」と言うのだから。 代表経験の浅い選手をテストするなら、対戦相手や試合環境をもう少し考慮したほうがいいのではないかというのは、甘い考えだろうか。 思えば、ウルグアイ戦もそうだった。ブラジルほどではないが、ワールドカップベスト16の南米の雄に対し、Jリーグでの経験も乏しい坂井達弥と皆川佑介のふたりをスタメン起用し、代表でデビューさせた。そしてふたりは今のところ、この1試合で切り捨てられた形になっている。 もしかすると今回もまた、ブラジル戦を最後に代表から外れる選手がいるかもしれない……。 シンガポールで戦ったブラジルとの親善試合は、0-4に終わった。試合は完敗だったが、前半に関してポジティブな面もあった。立ち上がりこそナイーブだった日本の若い選手たちが徐々に落ち着きを取り戻し、チャレンジする姿勢を見せたのだ。 ブラジルの中盤とセンターバックの間に出来たわずかなスペースに潜り込み、そこにしっかりと縦パス、横パスを入れてコンビネーションで切り崩そうとする。カウンターを警戒し、9月のウルグアイ戦のように、シンプルにロングボールを放り込んでいくことを予想していたので、それは少し意外な光景だった。 「『蹴っていくぞ』と試合に入っても、状況は変わるので、繋げるときは繋げばいい。それはピッチ上での判断だった」と明かしたのは、今やチームリーダーのひとりになった森重真人だ。 「試合が始まって、『けっこう繋げる』ということを各々が感じたと思うので、それが縦パスのチャレンジになったと思います。犯してはいけないミスもあるけど、チャレンジすること自体は重要なこと。通ればオーケー、通らなかったらミスだから紙一重ですけど、そこはこだわっていかないといけないと思っています」 ピッチ上で若い選手たちが見せた柔軟かつ積極的な姿勢――。先制されてしまったが、岡崎慎司や小林悠がフィニッシュまで持ち込み、ブラジルゴールへと迫った。「特に前半はしっかりとバイタルにパスを入れ、比較的チャンスを作れたと思います」と柴崎岳も言う。