防衛省、KC-46AとF-35Aの空中給油トラブルで再発防止策 ブーム格納できず着陸
防衛省は12月2日、北海道奥尻島南西の日本海上で今年8月に発生した航空自衛隊のKC-46A空中給油・輸送機の空中給油ブームが給油中のF-35A戦闘機から突然分離し、KC-46Aの機体後部胴体とブームが損壊した問題で、事故原因と再発防止策を公表した。F-35Aには損傷はなかったという。 【写真】空中給油中の空自KC-46A 防衛省によると、トラブルは8月6日午後3時1分ごろ発生。美保基地の第3輸送航空隊第405飛行隊所属のKC-46Aが、F-35Aに空中給油を実施していた際、ブームを操作する隊員「ブームオペレーター」が給油状況を確認する画面に、ブームが空中給油口から外れた状態を示す「ディスコネクト表示」が出た。 しかし、実際には給油口からブームは外れておらず、給油もできていたことから、ブームオペレーターは困惑。給油相手の機体からブームを外す際、通常の手順ではブームを空中給油口から外すまでは、ブームを垂直方向へ上昇させる操作をしないが、ブームオペレーターが無自覚にブームを外す前に上昇させる操作を行ったと推定したと、防衛省は説明している。 その後、ブームはF-35Aの空中給油口から外れるとともに急激に上昇。KC-46Aは後部胴体とブームが損壊したため、正常な位置にブームを格納できずに垂れ下がったままの状態になり、美保基地へ午後7時8分に着陸した。美保基地は民間航空機が利用する米子空港と官民共用空港となっている。 再発防止策として、ブームと空中給油口が接続しているにもかかわらず、ディスコネクト表示が出た場合の対処手順などが規定されていなかったことから、空中給油中に予期せぬ状況が生じた場合の対処要領などを新たに策定し、訓練などの実施基準へ反映することにした。
Tadayuki YOSHIKAWA