ハンコにフル出社…「いまだにこの働き方?」転職ありきで考えた就活 「企業を見る目が厳しくなっている」
さまざまな書類に押さなければならないハンコ、コロナ禍でもフル出社だった働き方――。新卒で就職して4年半で転職したという女性(27)は、「もともといつかは転職するつもりで就活していた」と話します。転職を踏まえて就活する学生は多く、「企業に対する目が厳しくなっている」と指摘します。(withnews編集部・水野梓) 【画像】ES送る封筒に書くのは…? 就活で知った〝ルール〟
「合わない企業」の理由は
2019年に中国地方の大学を卒業した女性は、「専門が人文科学で、研究職以外のどんな仕事に繋がるのか、そもそもどんな職種や業種があるのか、全く知識がなかった」と振り返ります。 学芸員の職は門戸が狭かったため、「まずは経済的に自立したい」と一般企業への就活を始めました。 人文科学にまつわる民間企業もリサーチしましたが、当初興味のあった企業はそもそも新卒採用をしていませんでした。 「自分は何が好きだったっけ」と過去を思い返し、幼い頃に好きだったラッピングに関連する業界で企業を探し始め、勤務地は東京を優先してリサーチしました。 とはいえ、視野を広げた方がいいだろうと「『自分には絶対向いていない』と思っていた業界の企業説明会にも参加していました」と話します。 「やはり違うな」と感じたこともありましたが、説明会や選考の後には「何が自分にとって違うと感じたのか」という点を書き出しました。 「興味のないところでも、実際に説明を聞いてみると偏見を持っていたなと感じることもありましたし、やっぱり自分には合わないと分かることもありました」と語ります。
企業への目がシビアな若い世代
地元の金融機関の企業説明会では「こんなことを言う人が、まだいるんだ」と衝撃を受けたそうです。 最後のあいさつに現れた頭取が、「女性職員の結婚」にまつわるエピソードを話し始めたのです。 「『うちには、お客様からも部下からも信頼が厚く、成績もよかった優秀な女性銀行員がいたんだけれど、定年まで結婚もせずに仕事に没頭していた』と語り始めました。『退職する時にはみんなが拍手で送り出し、本人も笑顔だったけれど、会社から出ていくその背中は寂しそうだった』と言ったんです」 あまりのことに、「なんだこいつ?」と腹が立ったという女性。 「『これから入行する可能性のある学生に向けて、こんな話を平気でするトップの元では無理だな』って感じましたし、これを止められる人がおらず、違和感なく受け入れる人たちの組織なんだと思うと『やっぱり東京に出よう、きっと東京なら多少マシだろう』という思いも強くなりました」と語気を強めます。 「私もそうでしたが、今の学生は、数年で転職することを踏まえて就活している人が多いと思います。だからこそ、企業に関する目がどんどんシビアになっていると思うんです」