熱海富士が霧島を破り、手取り1本3万円の懸賞束41本受けとりニッコリ、花道で2度見してニッコリ
◆大相撲 ▽夏場所3日目(14日、東京・両国国技館) 東前頭筆頭・熱海富士が大関・霧島に押し倒しで快勝した。自己最高位で新三役昇進のチャンスの中、初日からの大関3連戦を2勝1敗で乗り切り、白星を先行させた。先場所は尊富士が110年ぶりとなる新入幕優勝をやってのけた。21歳のホープも同部屋のライバルの快挙を刺激に、夏場所の主役候補に名乗りをあげる。カド番の霧島は痛い2敗目となった。大関・豊昇龍が初白星を挙げた。 【夏場所】番付&星取表 結びで熱海富士が大関を圧倒した。霧島に当たり勝ち、一気に前進。引いた相手をなおも追撃し、最後は押し倒した。大関は思わず尻もちをつくと、そのまま1回転して土俵下まで転落するほどの勢いだった。41本の分厚い懸賞束(手取り1本3万円)を両手で大事そうに受け取った。花道の奥では束を“2度見”して、思わずニッコリ。熱海富士スマイルが止まらなかった。 師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱・旭富士)の意向で先場所から支度部屋での取材には応じていないが、NHKの中継インタビューでは笑顔から真面目な表情に変わり「落ち着いていたのかなとは思う」と振り返った。初日の豊昇龍戦に続いての大関撃破。大関戦3連戦を2勝1敗の白星先行で乗り切ったが「まだ先は長い」と気は緩めなかった。 再入幕した昨年秋場所では優勝決定戦に進出するなど、一気にブレイク。ただ賜杯にはあと一歩、届かなかった。その中で3学年上ながら弟弟子の尊富士が春場所で110年ぶりの新入幕優勝を果たした。先を越され「僕は優勝できなかった側。もっと頑張らないと」と闘志に火がついた。先場所後は旧宮城野部屋勢も合流。「よりいっそう稽古が激しくなっている」と、実力に磨きをかけてきた。今場所は上位陣がいまひとつ波に乗れないだけに、初Vのチャンスは十分にある。 幕内後半戦の粂川審判長(元小結・琴稲妻)は「力をつけている。圧力がすごかった」と目を見張った。自己最高位の東前頭筆頭で新三役の好機も迎えている。好発進にも熱海富士は「まだ12番あるので頑張る」と冷静。地道に白星を重ね、主役の座をつかみにいく。(大西 健太)
報知新聞社