考察『錦糸町パラダイス』5話「責任を果たすことだけが正義じゃない」
仲の良さが伝わってくる15秒のワンシーン
社長から会社の片付けの依頼を受けて一人で行った一平(落合モトキ)は、安住のデスクだけそのままにしておき、「この人まだやめてないと思うんですよ。自分の勘、意外と当たるんすよ」と言う。そういえば3話で「サラマッポ」を清掃中にミカ(矢野あゆみ)のノートを見つけたときも、一平は「なんかこの持ち主、会いそうな気がするんすよね」と言っていた。一平の勘は、この先も発揮される場面がくるだろうか。 まっさん(星田英利)と蒼(岡田将生)のシーンは相変わらず謎めいているが、蒼がいよいよ具体的に動きはじめた。まっさんに錦糸町の町内会長を紹介してもらえるよう頼んだのだ。また、二人の間でQRコードの話題も交わされた。だんだんと物語がつながっていく。 5話で忘れられないのは、このまっさんと蒼のシーンの間に挟み込まれた、銭湯掃除を終えた大助たち3人の時間だ。踏むと自分の身体の悪いところがわかる足つぼマットのようなもの? を踏んだ大助が、聞こえるか聞こえないかくらいの声で「(悪いところ)生殖器だって(笑)」とつぶやき、みんなで笑う。この間わずか15秒ほど。けれど3人がずっとこうして過ごしてきたのだろうと感じられる絶妙な空気感。これこそ、このドラマをプライベートでも仲のいいメンバーでつくった価値のあるワンシーンだった。 ●番組情報 ドラマ24『錦糸町パラダイス~渋谷から一本』(テレ東) 企画・原案_柄本時生、今井隆文、太田勇 脚本_今井隆文、太田勇、石黒麻衣 監督_廣木隆一、太田勇、木ノ本浩平 出演_賀来賢人、柄本時生、落合モトキ、岡田将生 他 主題歌_MOROHA 『燦美歌』 Lemino、U-NEXTにて全話配信中(有料) ●釣木文恵/つるき・ふみえ ライター。名古屋出身。演劇、お笑いなどを中心にインタビューやレビューを執筆。 ●オカヤイヅミ 漫画家・イラストレーター。著書に『いいとしを』『白木蓮はきれいに散らない 』など。この2作品で第26回手塚治虫文化賞を受賞。趣味は自炊。 Edit_Yukiko Arai
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