SOSを社会がずっと見過ごしてきた…加害者・被害者・傍観者をなくすには?【こども・若者の性被害をなくそう】
こどもの性被害を防ぐためには何が必要か?小学生や未就学児を対象にプライベートゾーンについてわかりやすく解説する絵本を監修するなど、長年、性暴力被害者の支援に取り組んできた群馬県警の小笠原和美本部長は、これまで、声にならないSOSを社会がずっと見過ごしてきたと指摘する。その上で、こども自身を被害者にも加害者にも傍観者にもさせない予防教育が必要と訴える。
■被害者は悪くないというスタンスをもって
以前からあった問題に、ようやく国レベルで課題解決の動きが出てきたというのはすごくいいことだと思います。ただその動きをつくるために、被害に遭った人がつらい思いをしたことについて声をあげざるを得なかった、その声に応えるプロセスがもっと早く起きていたらよかったなというふうにも思います。性暴力に関しては元々様々な偏見があって、その一つがやっぱり被害に遭うのは女性だけという偏見。これはやはり男の子、男性の被害の訴えづらさにもつながったと思いますし、あともう一つ大きいのは、被害にあった側にも非があったんじゃないか、被害者が何とかすれば被害を避けられたんじゃないか、逃げられたんじゃないかという声が、被害者の声をあげさせづらくしてきたという、そうした誤解や偏見というのも課題だと思います。 (被害者への誹謗中傷について) スタンスをきちんと持っていただきたいと思うのは、被害に遭った側が悪いわけではないということ。被害に遭ってしまったときに抵抗できなかったり、助けを求められなかったりするというのは、被害に遭った人に起こる当然の反応です。恐怖で体が動かないとか、あるいはもし抵抗したらどんな不利益が生じるかと思ったら抵抗することができないということは、被害者の側に当然起こる心理的な反応ですので、例えば何を今更とか、それは本当のことじゃないんじゃないかとか、そうした誹謗中傷を見聞きした側も真に受けるべきではないと思います。それは被害者をさらに傷つける、二次被害・セカンドレイプにあたることだと思うので、それは公器であるマスメディア、報道機関の方々にも、しっかりスタンスとして持っていっていただきたいと思います。