維新の吉村代表、参院選1人区で「予備選」を提唱…馬場前代表の拡大路線から転換し野党候補一本化
1日に就任した日本維新の会の吉村代表(大阪府知事)が独自色の発揮に腐心している。10月の衆院選敗北で「党の消滅危機」と厳しい認識を示す中、自民党との対決色を強める一方、公約実現に向けて与党との政策協議にも乗り出しているだけに、難しいかじ取りが予想される。
「非常に厳しい党勢でのスタートだ。現有議席以上が目標だ」
吉村氏は13日、東京都千代田区の日本記者クラブで行われた記者会見で来年夏の参院選の目標を問われ、こう強調した。
維新は、衆院選で公示前から6減の38議席にとどまり、党勢の立て直しが急務だ。
吉村氏は野党第1党を目指さず、馬場伸幸前代表の拡大路線からの転換を進める構えだ。参院選では与党を過半数割れに追い込むとして、改選定数1の「1人区」で野党候補を一本化するための「予備選」を提唱する。13日には「社会保障制度改革は自民はやらない。維新が率先してやる」と述べるなど、対自民を意識した発言も目立つ。
同時に与党と協調する動きも見せている。維新は12日の衆院本会議で、2024年度補正予算案に賛成した。公約に掲げる高校授業料無償化を進めるため、自民、公明との3党の協議体を設置することで合意したことが理由だ。「無駄な予算が多い」と反対意見が多かったが、前原誠司共同代表が与党側と接触を重ね、協議体の設置と引き換えに賛成に転じた。
ただ、吉村氏は「永田町文化を変える」と訴え、与野党が水面下で折衝する「国対政治」を否定してきた経緯がある。与党と協調してきた前執行部に対し、党内に「自民寄り」と批判があっただけに、「自民には対決姿勢で臨むべきだ」(若手)との不満も漏れる。
維新は山場を迎えている与野党の政治改革協議で存在感を発揮したい考えだが、吉村氏と距離を置く前執行部の一人は「国対政治を批判したのだから、自分たちでやればいい」と突き放す。新執行部の各党とのパイプは細いままで、自民幹部は「維新は党内がバラバラで、交渉力も落ちている」と冷ややかに見ている。