東野圭吾もミステリーの舞台にした「バレエ」、500年の歩みと日本での"今"
ニッポンはじめて物語
そんなバレエが日本にやって来たのは、大正時代のことだった。1912年(大正2年)に帝国劇場で初上演され、1920年代には、世界的なバレエダンサーであるアンナ・パヴロワが来日して、バレエ公演を行い、さらに同じ"パヴロワ"姓のエリアナ・パヴロワが教え始めた。これをきっかけに、日本でも"観る"だけではなく"自分で踊る"バレエが一気に広がっていった。一般社団法人・日本バレエ団連盟のホームページによると、バレエを学ぶ生徒数は、現在では全国で25万人を超えているという。
全世代に拡がるバレエ
驚くのは、バレエを踊る世代の幅広さである。子どもたちの習い事というイメージがありがちだが、日本バレエ団連盟によると、実は日本国内のバレエ教室での在籍率は、50代が最も多く77%を超えている。次いで40代が73%、80代も6%ほどいる。世代を越えて楽しまれているのが、バレエなのである。そして"自分で踊る"楽しみを知った人たちは、当然"観る"楽しみも共有する。新型コロナ禍の直前には、日本国内のバレエ公演も2,800回を超えた。熊川哲也さんのような世界的なバレエダンサーも登場し、日本発の創作バレエも注目を集めている。500年前にイタリアで生まれた踊りは、総合芸術として日本も含めた世界中を席巻し続けている。 東野圭吾さんの『眠りの森』は、加賀刑事とヒロインの間にこんなやりとりがある。 「バレエは楽しいですか?」「わたしの人生そのものです」。 同じように胸を張るだろう大勢のバレエダンサーたちが、今日も世界各国で舞台に立ち、そして観客を魅了させていることだろう。 【東西南北論説風(523) by CBCマガジン専属ライター・北辻利寿】 <引用>東野圭吾『眠りの森』(講談社・1989年初版発行) <参考>一般社団法人「日本バレエ団連盟」公式ホームページ
CBCテレビ