市民から異論の新文化ホール 市長が計画再検討を表明
京都府福知山市の大橋一夫市長は26日、建設をめざしている新文化ホールについて、再検討する意向を明らかにした。市が示す基本計画について、市民の十分な理解が得られていないと判断。新たな検討委員会を立ち上げるなど、現行計画の是非から問いたい考え。 基本計画は昨年7月に策定。老朽化する中ノの市厚生会館を取り壊し、同じ場所に新たな文化ホールを建て替え、本格的な舞台設備などを備えつつ、市民が日常的に文化活動などで使用できる拠点施設として整備する方針を示していた。 定例会見に臨んだ大橋市長は「『新しい文化振興の拠点』という基本理念は大切にしつつ、機能、規模、場所、スケジュールなどについて、あらためて市民の意見を聞いて考えていきたい」と話した。 新文化ホールを巡っては、基本計画で「最低600席以上」とした座席数、建て替え場所、駐車場の確保などに反対する意見があり、市民から見直しの賛否を問う住民投票の条例制定に向けた8千人を超える署名や請願の提出があった。一方で、現行計画の推進を求める請願も市民から提出されている。 こうした状況について大橋市長は「これから具体的に決めていく事項が、あたかも確定した情報かのように飛び交い、市民の意見も分かれている。一度出来てしまえば50年は市民生活に寄り添う施設。多くのみなさんの理解を得ながら建設することで、地域の拠点にしていきたい。再検討は、推進派の方の思いとは違うことかもしれませんが、ご理解をお願いしたい」と語った。
■市民へ十分に説明し現計画の是非も問う
市民への情報提供が不十分であるとの認識も示し、「改めて基本計画の中身を市民にきちんと説明し、指摘がある部分を再検討課題としたい。全くの白紙になるわけではないが、指摘のあった部分を考えていく中で計画が変わっていくことはあり得る」と、現行計画の変更にも踏み込んだ。 新たな検討委員会の委員、スケジュールなどは現在調整をしているが、現行計画反対派の人も委員に加えることなどを考えているという。全体の進め方としては、無作為抽出した市民へ基本計画を説明して広く意見を集約し、その上で検討委で議論を深める-といったことを構想する。 また現在、市文化ホール事業運営計画検討委員会が、新文化ホールの運営態勢などを議論しているが、新たな検討委で方向性がまとまるまで議論をいったん止める。