弘南バス(弘前市)、1日から16年ぶり値上げ 住民「仕方ない」「使い続けるしかない」
津軽地方一円で路線バスを運行する弘南バス(本社青森県弘前市)が12月1日から16年ぶりに運賃を値上げする。輸送経費の増大や乗客減が理由といい、前日の30日は住民から「家計が苦しくなるが仕方ない」「他に安い交通手段がないので使い続けるしかない」などとあきらめの声が聞かれた。 運賃改定は消費税引き上げ時を除けば2008年以来。値上げ率は16.2%で、初乗り運賃は40円値上げし200円となる。弘前市内の100円バス3路線も現金払い150円、交通系ICカード払い130円に値上げ。代わりに弘前市発着の便の大半で、運賃の上限を500円にした。 通学のため弘前駅から週2、3回利用する弘前高校1年の那須大悟さん(15)は「自転車の使えない冬場はバス利用が増える。頻繁に使うから値上げは厳しいが、歩いて登校するのも大変。バスを使うしかない」と肩を落とす。 弘前市城西地区の年配女性は、土手町循環と城東循環の2本の100円バスを乗り継いで買い物に出かけるといい、「年金生活だから出費を抑えないと。(ICカード払いで)循環バスに少しでも安く乗れるなら使い始めたい」と話す。 親戚の家に行くため週3、4回利用する同市の男性(66)は「足が悪く車もない。タクシーも高いので別の交通手段に切り替えようがない。1回数十円の値上げでも『ちりも積もれば山』となって家計に響くだろう」と不満を示した。 弘南バスは値上げ理由について「バス利用者の回復が見込めない中、物価高騰や人件費増加などで厳しい経営状況が続いているため」としている。