新星イチゴ「とちあいか」〝匠の技〟はスマホで共有 栃木
栽培農家の3分の1が登録
栃木県は、新たな主力イチゴ「とちあいか」の栽培技術を底上げしようと、県内全域でスマートフォンを使った技術の共有に乗り出した。栽培上の注意点や病害虫の発生情報などをLINEで発信し、県内栽培農家の3分の1が登録する。月内にも優れた技術を持つ農家のハウス内の気温や湿度などを専用アプリで公開する取り組みも始める。 栃木県が育成した「とちあいか」は2019年から栽培が始まり、24年産の栽培面積は255ヘクタールと「とちおとめ」(166ヘクタール)を初めて上回った。 「とちあいか」は大粒で多収性が特徴。県などは10アール収量目標を7トンに設定するが、23年産は5・6トンにとどまる。生産者数1000人超のうち3割が今年から栽培を始めたため、「栽培技術の高位平準化が急務」(生産振興課)だった。 そこで、県は出荷が本格化する10月からLINEを使った情報発信を始めた。例えば「とちあいか」で発生しやすいとされる空洞果対策として、「とちおとめ」より元肥を減らすよう呼びかけた。果実に縦筋が入ったり、へたの周りに穴が開いたりした写真も投稿し、空洞果の見分け方も伝えた。 これまでに県の普及員らが11回投稿し、登録者数は350人と生産者の3分の1に達した。真岡市で「とちあいか」を栽培する苅田聡さん(60)は「畑で写真を見ながら注意点を確認できるのがいい」と語る。 さらに県は、月内にも県内資材メーカーが開発した環境測定装置でハウス内の温度、湿度、土壌水分量などを測定し、専用アプリで公開する。県内10JA管内の収量が多く安定した品質で出荷する農家のハウスに設置し、生育や栽培状況も写真を交えて提供する。
日本農業新聞