道後温泉の記憶を継承するアート 大竹伸朗が“描き”重要文化財を守ったテント膜「熱景」の再生
保存修理工事で道後温泉本館を約2年もの間覆っていたテント膜。 愛媛県内在住の画家が描いたアートな覆いは、工事終了後、学校用テントに生まれ変わり、松山市内53の小学校に贈られた。職人たちの技がおりなすテント膜の再生を取材した。 【画像】道後温泉本館を覆っていた当時のテント膜を見る
画家・大竹伸朗さんが“描いた”テント
保存修理工事に入る道後温泉本館を覆うために、2021年に完成したテント膜「熱景」。原画を手掛けたのは宇和島市在住の画家・大竹伸朗さんだ。 その大きさは幅約30メートル、高さは約20メートル、シートの総面積は約2400平方メートルもの巨大なもので、道後温泉のシンボルでもある白鷺(しらさぎ)や温泉が持つエネルギーなどをちぎり絵で大胆に表現したアートなたたずまいは、道後を訪れる人を楽しませてきた。 画家・大竹伸朗さん: (タイトルは)ここにあるように「熱景」としました。ここが「パワースポット」になるように目指すというか、見ていただいた方が少しでも色と形を通して元気になっていただければというのが一番強い思いです。 2023年11月に保存修理が終わり建物を雨や風から守ってきたテント膜はその役目を終えて解体された。
テント膜のアートと再生
12月、取り外されたテント膜は、小学校に贈られる運動会用のテントにリメイクするため松山市の大型テント施設などを手掛ける「TMトミオカ」の作業場にあった。 このテント膜のリメイクを手掛けるTMトミオカは、画家の大竹さんが描いた原画をテント膜に印刷するところから携わっていた。 TMトミオカ代表取締役・宮道享さん: テントの膜材これもかなり強い膜材でそこにアクリルコートをのせた上にこちらのインクジェットの印刷をしている。 画家・大竹伸朗さん: やっぱびっくりしましたね。正直原画より全然いいですよ。紙のちぎり絵で、手でちぎると紙の繊維が出るんです。その紙の繊維まで(テント膜に)出てましたからねえ。それは本当に驚きましたね。あとは色の鮮やかさが逆に原画では出せない色っていうかな。