「もう少し詰めないと…」サンフレッチェ広島、川辺駿が語る優勝への課題。「生きるか死ぬか」欧州での経験を還元へ【コラム】
川辺駿は「点の取れるMF」として進化を遂げた
一方の鹿島も、広島との重要な上位決戦に向け、3週間かけて準備。強度の高い入りを見せ、17分には名古新太郎の右CKから知念慶がヘッドで先制。堅守がモットーの広島はいきなりビハインドを強いられたが、彼らの攻撃姿勢が失われることはなかった。 この2分後に新井直人の右CKから新エース・パシエンシアが同点弾を叩き出すと、迎えた36分。東峻希が出したタテパスを川辺がDFの背後で受け、左サイドから関川郁万を股抜きで突破。ペナルティーエリア内に侵入し、ゴール前に走り込んだ松本へラストパスを供給。見事な逆転ゴールをお膳立てしたのだ。 「飛び出した先でのクオリティっていうのは自分のよさだと思いますし、鹿島のDFはすごい強いんで、なかなか難しい試合になりましたけど、スキと言うか、食いつきと言うか、強さがある分、それを前面に出してプレスしてくるかなと思ってたんで、ああやってドリブルでかわしました。 僕が幅広く動くのは自分たちの狙いでもあるし、アグレッシブにどんどん裏に抜けてチャンスを作りに行くっていうのは、チームのよさ、自分のよさでもある。それが1つ、形になったのはよかったかなと思います」 背番号66をつける男は手ごたえを口にした。広島でトップ昇格した頃からボランチのイメージが強い川辺だが、2015~2017年に過ごしたジュビロ磐田時代は名波浩監督(現日本代表コーチ)の下、トップ下でもプレー。中村俊輔ら名手との共演で攻撃センスに磨きをかけてきた経験がある。 加えて言うと、2021年夏から赴いたスイス1部・グラスホッパーでは21/22シーズンにリーグ7点、22/23シーズンに同9点をマーク。23/24シーズンのスタンダール・リエージュでも同7得点と「点の取れるMF」へと進化を遂げて現在に至っているのだ。 こうした攻撃力と決定力を買われ、2022年1月にはイングランド・プレミアリーグのウォルヴァーハンプトンと3年半の契約を締結。グラスホッパ―2年目はレンタルという形でプレーした。ここでもう一段階上の活躍を見せていたら、最高峰リーグ参戦を手にしていたはずだった。しかし、何かが足りず、ベルギーに完全移籍することになり、最終的には今夏、広島に戻るという形になった。