小宮山莉渚

　女性7人組ダンスボーカルグループMISS MERCYのRINAとしても活動する女優、モデルの小宮山莉渚が、東京・日本橋のAA（アー）で3月16日から始まった写真展『私が撮りたかった女優展Vol.5』に参加。さらに3月26日にN H Kにて放送される第47回創作テレビドラマ大賞『ケの日のケケケ』と、6月7日公開の映画『違国日記』に出演が決定しており、これからの活動に注目が集まっている。小宮山は、ソフトバンクの『ドラえもん』CMシリーズのしずか役、2021年には映画『ヤクザと家族 The Family』で主演の綾野剛の娘役として出演し、スクリーン・デビューを飾っている。インタビューでは、お芝居についてやモデルとしての姿勢、いまハマっている料理や、小学1年生からやっていて、人見知りだった自分を変えたと話す囲碁について話を聞いた。【取材・撮影＝村上順一】 【写真】小宮山莉渚、撮り下ろしカット ■奥平大兼とラーメンの話しで盛り上がる ――『ケの日のケケケ』の脚本を読まれて、どのようなことを感じましたか。 　感覚過敏という症状を抱えるあまねが主人公のお話しなのですが、脚本を読んでその感覚過敏が印象的で、私は同じような症状を抱えた人にお会いしたことがなかったので、まず感覚過敏について調べるところからはじめました。 ――タイトルにもある“ケの日”ってどんな日なのでしょうか。 　私は食生活アドバイザーの資格を取りたくて勉強をしているのですが、その時に　「ハレ」の日と「ケ」の日があるということを知りました。年中行事などを行う日を「ハレ」の日、普段どおりの日常を「ケ」の日と呼ぶそうで、「ケ」の日も楽しく過ごそう、みたいな意味があると聞きました。「ケケケ同好会」は、「ハレ」の日と「ケ」の日の意味だけではなくて、別の意味も重なっているので、そこにも注目して観てもらえると楽しいと思います。 ――小宮山さんが演じた樹李はどんな人物だと思いましたか。 　樹李は真面目でまっすぐ、素直に生きてそれを貫き通しています。数字にとらわれる一面があり、もともとやっていた陸上競技での記録だったり、学校の入学者数などを気にしているような女の子です。他にも私ができないようなことを樹李はできる女の子なので、すごいなと演じながら感心してました。 　逆に當真さん演じるあまねは自由な考え方をもった女の子で、自由な活動ができ、人生を休憩したい人のための同好会「ケケケ同好会」を立ち上げます。そんなあまねと樹李は真逆の性格なんです。私の性格はどちらかというとあまねに近いところもあるので、2人どちらの気持ちもわかるからこそ、自分とっての樹李を見つけやすかったのかなと思います。 ――あまね役の當真あみさんとはどんなお話しをされました？ 　當真さんと仲良くなりたくて、私の方からガンガン話しかけてしまいました（笑）どんな部活動をやっていたのか、学校にはどういう風に通っている？　など学校の話をよくしていました。 ――琥太郎役の奥平大兼さんとはお話しされましたか。 　はい。冬の寒い中での撮影だったこともあり、温かいものについてのお話が多かったです。奥平さんと私は年齢が少し離れていたので、どんなお話しをしたらいいのか考えていました（笑）。 ――考えた結果、どんな話題を投げかけたんですか。 　奥平さんが休憩中にラーメンを食べていたのを見て、ラーメンはどんな味が好きなのか聞いてみました。私は味噌ラーメンが好きだとお話したら、「僕も味噌ラーメンが好きです 」と同じで驚きました。醤油ラーメンやとんこつラーメンが好きな人が多いのに、味噌ラーメンが好きというのは珍しい、と盛り上がりました。 ■考察することが好き ――さて、写真展『私が撮りたかった女優展Vol.5』が3月16日から開催されますが、お話をいただいたときはどんな心境でしたか。 　松本穂香さん、恒松祐里さん、八木莉可子さん、玉城ティナさん、ご一緒する方がとてもすごい方々だったので、その中に自分が入れたことがとても光栄でした。女優展を観てくださる方にどれだけ小宮山莉渚を伝えられるか、ということを意識して撮影に臨みました。 ――撮影で印象的だったことは？ 　写真家の角田航さんに撮っていただいたのですが、撮影の前に『息をひそめて』というドラマを教えていただいて、それを観てから撮影に入りました。それもあって演じているところを撮られているような、ちょっと不思議な感じがありました。一瞬一瞬を撮られているということに、一つひとつの動きが自分の中で細かく分解されていくような感覚がありました。 ――新鮮な撮影だったんですね。小宮山さんがモデルとして心がけていることは？ 　今、『non-no』でモデルをさせていただいていて、服とかバッグなど身につけているものをベストに見せられるようなポージングを心がけています。また、今回の女優展のように自分を見せる撮影では、喜怒哀楽などストーリーを作れるかを意識しています。今回は演じるという感情を意識したので、表情で気持ちが変わっていくところを見せられたらと思いました。 ――女優展、どのように楽しんでもらえたら嬉しいですか。 　写真の表情からいろいろ考察をして楽しんでいただけたら嬉しいです。私は写真を観て、どんな想いでこの写真は撮られたんだろう、とか考えるのが好きなんです。 ――想像するのがお好きなんですね。 　映画を観て考察するのも好きですし、他の人の考察を読むのもすごく好きです。自分はこの映画を観てこう思ったけど、他の人はどう思っているのかとても気になります。他の人の考察を見て、どんどんその作品の世界が広がっていくのですごく面白いです。その映画を見た瞬間だけではなくて、その後も楽しめる、その時間がすごく好きです。 ――ちなみに小宮山さんが好きな映画は？ 　印象に残っている作品だと、『怪物』です。『怪物』はあらすじなど事前情報を入れずに観に行ったので、観た後に自分の中で考えることがたくさんありました。疑問点があったので、いろいろな人の考察を見たのですが、それでも整理がつかなくて。考察を見てどんどん面白さが増していきました。 ――自分で想像できる、余白みたいなものがある作品が好きなんですね。 　好きです。何かを見たときに感じることは人それぞれ違うと思います。ただ空を見ていても晴れてるなと思う人もいれば、空とは関係なくお腹空いたなとか、その感覚は一人ひとり違うので、写真展を観た後にどう感じていただけたか、写真を観て思ったことをSNSなどに投稿していただけたら嬉しいです。観てくださった方の視点から自分が知らなかった自分を知れるので、それも楽しみの一つです。自分だけで小宮山莉渚を作るのではなく、出会う人や観てくれた人によって、自分をもっと知るきっかけになれたらと思っています。 ■囲碁を通してコミュニケーション力がついた ――最近は料理にハマっているとお聞きしました。何かきっかけがあったのでしょうか。 　高校受験が終わったあたりから料理をはじめました。私は他の人よりも受験がちょっと早く終わったので、放課後は早く帰って何かしたいなと思いました。その中で料理を選んだのは、母がパン作りやお菓子作りなど料理好きで、調理器具が揃っていたので、始めやすかったというのも大きいです。最初は電子レンジでできるパン作りから始まって、もっと凝ってみたいと思い、そこからどんどんレベルを上げていきました。 ――今はどんな料理にチャレンジしていますか。 　この前チャレンジしたのは酵母からパンを作ったり、パンダ柄の中華まん、スパイスを使ったカレーなど、いろいろな料理に挑戦しています。また、私はお蕎麦屋さんのカツ丼が大好きなので、市販のつゆを使わずに、かえしから作ったりもしました。 ――本格的ですごいですね！　小宮山さんが料理をしていて一番嬉しいときは？ 　誰かに食べてもらって「美味しい！」と言ってもらえる瞬間がすごく好きなんです。また、味はもちろんなのですが、盛り付けしたときの色合いにもこだわって作っていて、インスタに私が作った料理を載せているので、ぜひ見ていただけたら嬉しいです。 ――小宮山さんはハマるとどんどん深みにハマっていくタイプですね。 　そうなんです。ファンの方から「いつか農場から始めそう」とか言ってもらったんですけど、本当に自分でも始めてしまいそうで怖いです（笑）。 ――あはは（笑）。そういえばちょっと前にエレキギターをやってみたいという記事を見たことがあったのですが、まだやられていない？ 　まだやれてないんです。私はひとつのことにハマってしまうと、それに集中してしまうので、それが今は料理なんです。短期的にひとつのものにどっぷりとハマるタイプで、それが演技にも役にたったらいいなと思っています。 ――では、趣味の囲碁も今はやられていない？ 　囲碁はアプリを使ってお風呂でやることが多いです。何かに集中したい時にAIと囲碁を打ちます。 ――今、囲碁の魅力をどこに感じていますか。 　無心になれるところが魅力だと感じています。また、私の性格を変えてくれたのも囲碁でした。今は割と喋れているんですけど、昔は人見知りで、祖母に会うときでさえ母の後ろに隠れてしまうほどでしたが、囲碁を始めてから変わりました。　 　囲碁の大会では、小さい子からおじいちゃんおばあちゃん、いろいろな方と対局をするので、そこで囲碁のお話しを通してコミュニケーション力がついていったと思います。親が転勤族だったので、新しい場所で友達を作るときの役にもたちました。小学1年生で始めた囲碁ですが、早く始めてよかったです。囲碁をやっていなければ、今こんな風に喋れてないと思いますし、この世界にいられているのも囲碁のおかげなので、すごく感謝しています。 （おわり）