最大積載量13トンのトラックに10トンの荷物を積んだら違反!? 意外と知らない「トラックのルール」
重さを示す表記には最大積載量・車両重量・車両総重量がある
一般に、トラックではよく「〇トン車」などと表現される。これは、トラックの重さが「〇トン」なのか、「〇トン」積めるということなのか、一般人にはわかりにくい。たとえば、改正前に取得した普通自動車免許(改正後は中型自動車免許)を見ると「中型車は中型車(8トン)に限る」などと書かれており、「8トン積めるトラックを運転できる」などと思っている人もいるという。 【画像】トラックが車輪を浮かせて走っているのは高速料金を安くするためだった こういった車両の重さを示す表記は、おもに最大積載量・車両重量・車両総重量の3つが挙げられる。最大積載量は車検証に記載(乗用車を除く)されているが、これは荷物などの積載を目的とする貨物自動車を対象とした数値だ。当該車両に、最大でどの程度の量(重さ)の荷物が積めるかということを表している。 車両重量は、車両本体の重さ・満タン時の燃料・規定量のオイル・冷却水・バッテリーなどを加えた車重のこと。すなわち、車両がすぐに走れる状態の重さを指している。これに対して車両総重量は、車両重量+最大積載量+乗車定員の重量(55kg×乗車定員数)のことで、これも車検証に記載されている。 車検証に記載されているこれらの重量は、道路運送車両法・保安基準によって規定されたものであり、記載と当該車両の状況が合致していなければ違反になる。いい換えれば、合致していることで公道を走る車両として認められるというわけだ。ところが、「最大積載量13トンのトラックに、10トンの荷物を積んで公道走ったら違法」になる場合があるというからややこしい。
道路運送車両上公道を守っているのに道路法違反?
車両の総重量(車両総重量ではなく、走行時点の積み荷などを含めた車両全体の重さ)には、道路法・車両制限令による20トンの上限規制が設けられている。その理由は、この法律が道路を守るために制定されたという側面があるからだ。要するに、道路運送車両上公道を走れる車両であっても、道路法に抵触すれば規制がかかるということである。 先の例でいうと、車検証に最大積載量が13トンと記載されていても、車両重量と定員重量の合計が10トンを超えていた場合、荷物を10トン積めば道路法の制限を超過するということである。また、軸重にも注意が必要だ。これは、それぞれの車軸にかかる重量のことで、軸重の一般的制限値は同法では10トンとされている。車両の総重量が制限値以下であっても、荷物の積み方による偏りで軸重が超過する場合もあるということだ。 ただ、車両の総重量制限値は、道路管理者(通常、国・都道府県・市町村の首長)が「重さ指定道路」と認めた道路では、25トンにまで緩和される。また、トレーラーなどの場合は、最大で36トンにまで緩和される道路もある。ちなみに、この緩和は車高にも同様の特例が設けられている。「高さ指定道路」とされる道路では、通常の制限値は3.8mだが4.1mまで緩和されるのだ。 車両制限令の重量規制値に抵触した場合、車両はまったく道路を走行できないのかというと必ずしもそうではない。抵触する車両は「特殊車両」ということになり、通行する道路の道路管理者に許可を申請することになる。ただ、25トン以下であれば「重さ指定道路」を申請せずに通行できるので、総重量が20トンを超えて25トン(トレーラーなどは26トンの車両もある)までの車両を「新規格車」と呼んでいる。この車両にはワッペンが添付されているので、それを見れば見分けることができるのだ。「新規格車」は大量輸送の担い手として、人手不足解消の一助となると期待されている。
トラック魂編集部