日本一奪還の追い風に 金賞増「胸を張れる」 福島県酒造組合会長
福島市の県酒造組合の事務所では、22日午前10時ごろに全国新酒鑑評会の審査結果が発表されると、組合員らが金賞と入賞の銘柄数を入念に集計した。都道府県別の金賞受賞数日本一を逃し、「惜しい」と悔しがる声が上がる一方、前年を四つ上回る金賞受賞と全国最多の入賞を喜んだ。 渡部謙一会長=南会津町、開当男山酒造蔵元=は「(昨年より多い)18銘柄が金賞を受けたことは胸を張れる」と話し、「今年もコメの性質を見極めながら、より良い酒造りをしていく」と気持ちを新たにした。 一層の県産日本酒の振興に向けて「この結果を追い風に、県産酒の魅力を広くアピールしていく」と言葉に力を込めた。 県ハイテクプラザ会津若松技術支援センター(会津若松市)は、県外で新たに開発された香りの高い酵母の分析を進めているという。県日本酒アドバイザーを務める県酒造組合の鈴木賢二特別顧問は、県産日本酒のさらなる品質向上に向けて「情報収集などに前向きに取り組む」と誓った。
■ふくしまの酒マイスター・日本ソムリエ協会長 田崎真也さんインタビュー 高い技術に誇りを 多様性に富む銘柄魅力 全国新酒鑑評会の結果を受け、「ふくしまの酒マイスター」を務める日本ソムリエ協会長の田崎真也さんは22日、福島民報社の取材に答えた。県産酒の技術力の高さに誇りを持ち、幅広く魅力を伝えてほしいと県民に呼びかけた。 ―県産酒の結果をどう見るか。 「昨年の金賞数は(全国1位の山形県と)大きな差が開いた。今年は4銘柄も増え、18銘柄となった。各酒蔵が奮起した結果だろう」 ―県産酒の魅力はどこにあるか。 「福島は面積が広く、会津、中通り、浜通り各地方で地形や水質が異なり、食文化もさまざまだ。日本酒もそれぞれの地域に合った銘柄が造られており、多様性に富んでいる」 ―県民にメッセージを。 「鑑評会での金賞受賞は蔵元の技術力の高さを示すものであり、福島の各蔵はその技術が安定している。県民の皆さんはぜひ誇りを持って、魅力を他県に紹介してもらいたい」