手当たり次第に高校へ電話…買い取った名簿を中国の関連会社へ 特殊詐欺に悪用のケースも 不正に買い取った名簿業者の代表を大阪府警が逮捕
盗品等有償譲受けなどの疑いで逮捕されたのは、大阪市中央区の名簿業者「フリービジネス」の代表・宮本克巳容疑者(61)です。 警察によりますと、宮本容疑者は2021年9月、盗品であることを知りながら北海道内の高校同窓会約3万3000人分の名簿を買い取った疑いなどがもたれています。 宮本容疑者に名簿を売ったのは、詐欺などの罪ですでに起訴されている加藤仁被告・60歳。 加藤被告が名簿を不正に入手した手口はこうです。 まず手当たり次第に高校に電話を掛け、新しい名簿への更新があるかを確認します。新しい名簿があることが確認できれば、宮本容疑者からその高校の古い名簿の一部を送ってもらいます。 加藤被告は古い名簿に記載されている人物に成りすまし、国民健康保険証を偽造し高校に提出。手に入れた名簿を加藤被告に1冊3万円で売却していたとみられています。 警察がフリービジネス社を家宅捜索し社員に事情聴取したところ「入手した名簿はスキャニングしてデータ化し、データは中国にあるデータ入力を行う関連会社に送信します」と話したということです。 宮本容疑者と加藤被告は10年以上取引があったとみられ、少なくとも2019年以降、181冊の名簿を購入していたとみられています。 またフリービジネス社は男性約3000万人分、女性約2600人分の名簿を保有していたとみられ、「65歳以上の高齢者」という条件でフリービジネス社に名簿を発注した業者は53社に上るということです。 警察がそのうちの1社を調べたところ、名簿記載の約1200人のうち75人が特殊詐欺の被害に遭っていました。 宮本容疑者は警察の取り調べに対し、「不正なものではないことを確認して買っていた」と容疑を否認していますが、警察は不正に入手された高校同窓会名簿が特殊詐欺事件に悪用されている実態があるとみて、捜査を進めています。