出産費用の保険適用、本格議論スタート 費用上昇歯止めに期待も少子化対策効果には疑問符
■大きい経済的不安
昨年の日本人の年間出生数は過去最少の72万7277人となり、1人の女性が生涯に出産する合計特殊出生率も過去最低となる1・20にまで落ち込んだ。若者世代が結婚・出産をしない理由には経済的な不安が大きいとの見方もあり、政府は出産費用の保険適用で負担を減らしたい考えだ。
だが、少子化対策としての効果には専門家からも疑問の声が上がる。少子化問題に詳しい日本総研エクスパートの村上芽(めぐむ)氏は「すでに妊娠した方にとってはサポートになりうる」と評価しつつ、保険適用になっても妊娠していない若者が出産しようとは考えないだろうと指摘する。また、「産科の減少を加速させる恐れがあり、妊婦が受診しやすい環境を守ることを最優先に制度設計の議論を進めるべきだ」と述べた。(大島悠亮)