湘南が新潟に見せつけられたポゼッションサッカーの完成度の差。厳しい残留争いへスタイルを貫けるのか
湘南は1年生。対して新潟は5年生
9月14日、湘南ベルマーレはJ1第30節でアルビレックス新潟と敵地で対戦し、1-3で敗れた。 【画像】ホーム平塚に集結!最後まで声援で後押しした湘南ベルマーレサポーター! 6月の終わり頃からボール保持率を高めている今季の湘南にとって、2020年のアルベル前監督(当時の登録名はアルベルト・プッチ・オルトネダ)の就任から22年の松橋力蔵体制の発足も含め、常に自陣からつなぐスタイルを継続してきた新潟は“ポゼッションサッカーの先輩”だった。 湘南にとってそんな先輩に、完成度の差をまざまざと見せつけられるゲームとなった。 湘南は立ち上がりからホームチームにハイプレスをいなされる。逆に新潟に深いエリアへの侵入を許し、8分には小野裕二に背後を取られて失点。さらに32分、ボックス内でフリーになった長倉幹樹に決められて2点のビハインドを背負った。崩しの手本のような相手の攻撃に、何度も決定機を作られた前半だった。 後半、湘南は若干、攻勢を強めたが、奪われた後のプレスは相変わらず機能せず。相手のビルドアップに苦しめられ、75分には谷口海斗にネットを揺らされ、さらに点差を広げられた。 90+3分に畑大雅のクロスから阿部浩之のヘディング弾で一矢報いるも、残留争いへ痛い黒星を喫した。 両チームの間に何より感じたのが崩しのバリエーションの差だ。新潟はプレスをかけられても、ピッチを広く使って剥がし、相手の配置を見て4-4-2の2トップや2ボランチの一角がひとつ下のラインに落ちてボールに関わるなどして局面を打開。状況ごとの判断と選手個々の動きの流動性が光った。 一方、湘南は良くも悪くも“型”があるのだろう。ビルドアップの起点は3バックの両ストッパー。そこに入る技術に秀でた髙橋直也と鈴木淳之介が相手を引きつけ、同サイドのサイドボランチ(インサイドハーフ)やウイングバックをフリーにさせたうえで縦パスを通す。敵がプレスに人数をかけてくるなら、逆サイドや最終ラインの背後をシンプルに狙う。 こういった形がハマれば、一気に敵陣に攻め込み好機を作れる。ただ、相手に自陣に引きこもられた場合や、両ストッパーが厳しいプレスをかけられた際には弱点が露呈する。 ストッパーが追い込まれた時、GKやリベロのサポートの位置と距離が遠く、サイドボランチやウイングバックが落ちてくるのか、背後を狙うのかの意思統一もし切れずにいるように映った。ゆえに、湘南は対応力の面で新潟との差を露呈してしまったのだろう。 ポゼッションスタイルを磨いた時間を考えれば、湘南は“1年生”で新潟は“5年生”と言えるだろう。差があるのは当然である。リーグ戦も残り8試合で順位の近い相手に敗れたのは残留に向けて手痛いが、湘南が現在のスタイルを貫くなら、このタイミングで自分たちの現在地を確認できたのは大きいのかもしれない。 アルベル時代から内容が結果につながらない苦節の時期も過ごしながら、J2で時間をかけてポゼッションサッカーを成熟させてきた新潟。湘南が新潟のような崩しの質やスムーズさを手にするまでは、彼らと同様に時間をかける必要があるのだろう。ただ、この道を進む価値があると個人的には思う。 取材・文●岩澤凪冴(サッカーダイジェスト編集部)
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