館林の“ズル林”疑惑は「濡れ衣」か 気象台、関係者が完全否定
「日本一暑い街」という称号を争う群馬県館林市の観測所が、「わざと高温になるような設定になっているのでは」という疑惑が、ネット上などで数年前から話題になっている。ゆるキャラ投票をはじめ、ご当地間のまちおこし競争が激しさを増す中、やっかみからか高温都市として名をはせる館林を、“ズル林”と揶揄(やゆ)する声も上がる。疑惑は本当なのか?取材に対し、地元の気象台や関係者は「本当に暑い街ですよ」と、疑惑をあっさり否定した。 館林市は、高い気温が観測されることで全国的に知られている。気象庁によると、同市では2007年8月16日、過去最高の40.3度を記録。その後も気温上位の常連で、今年8月5日にも39.5度を記録した。ただ、ネット上では、館林の観測所について疑問を呈する指摘が相次いでいる。具体的には、「地面は芝生ではなく、人工シートを敷いている」「周りはアスファルトに囲まれ、熱源が多い」などだ。 館林市に設置されているのは、気象庁の「地域気象観測システム」(アメダス)の地域気象観測所。全国で気温を測るものは約840か所あり、館林はその一つだ。同市美園町の館林消防署の敷地内に置かれており、東武伊勢崎線・館林駅から約1.5キロの距離。周辺は、自動車販売店やマンションが隣接する。この地での観測は1978年12月22日から始まり、現在に至っている。 人口わずか7万8000人の地方都市が、「日本一」の称号を得る機会は滅多にない。その称号を何としても得たいがために、関係者が「ズル」をするということは、果たしてあるだろうか?気象庁・前橋地方気象台の担当者に、「ズルはあるのか」と尋ねたところ、苦笑交じりに「全国統一の基準でやっていて、館林だけ特別なことはありません」とあっさり否定した。 気象庁は、温度計を設置する環境の基準を公表している。地上から1.5メートルの高さに設置すること、最寄りの建物や樹木からその高さの3倍程度の距離を置いて設置すること、人工の熱源から十分に離すこと、屋上への設置は避けることーーなどで、館林の観測所も「当然、こうした基準に沿って設置・運用されている」と、同気象台は説明する。