角野隼斗、“堂々とした振る舞い”を意識してステージに上がったものの…うっかりエピソードを明かす
ピアノニスト・角野隼斗が、ボルチモアで印象的だった演奏会のエピソードを語った。 内容をお届けしたのは、J-WAVEで放送中の番組『ACROSS THE SKY』(ナビゲーター:小川紗良)のコーナー「TOKYO TATEMONO MUSIC OF THE SPHERES」。このコーナーでは、角野隼斗が、音楽を通したさまざまな“出会い”をもとに、楽曲とトークをお届けする。10月27日(日)のオンエアをテキストで紹介。
ボルチモアでショパンのピアノ協奏曲第2番を演奏
2023年4月より東京とニューヨークの2拠点生活で活動する角野。先日は、アメリカ合衆国のメリーランド州にある都市・ボルチモアのコンサートにてピアノ演奏をおこなった。 角野:ボルチモアとはワシントンDCの近くで、フィラデルフィアとDCのあいだくらいにある町です。ニューヨークからもそんなに遠くはなくて、東京と大阪ぐらいの距離な気がします。非常に歴史の古い町で、星条旗の歌詞が生まれたことなんかでも有名です。近年はわりと治安が悪い都市としても知られていて、「どんな感じなんだろう」と思ってたんですけど、 港付近は再開発が進んでいて、少し散歩した感じもとても綺麗でございました。ボルチモアはシンフォニーオーケストラと、そして指揮者のマリン・オルソップさんとショパンのピアノ協奏曲2番を演奏しまして、3日間ぐらいありましてね。2日がボルチモアで、1日だけはDCに行ってやったんですが、とってもよいコンサートでありました。 コンサートでは現地の人々が数多く訪れた。ニューヨークとは異なり、ボルチモアはアジア人の数が少なかったと角野は振り返る。 角野:アメリカは聴衆の方々もすごくアクティブに反応してくれるんですね。違いを感じておもしろいなと思ったりもしました。学校とかもあるんでそれなりにはいると思うんですけれども、ニューヨークと違ってボルチモアはアジア人もそんなに多くないんですよね。バックステージではアメリカ人に囲まれて話す場面が多いんですけども、やっぱり体格も大きいですし、英語っていうのもあるけど、ちょっと萎縮しちゃうんです。自分では何の気なしに話してると思っていても、自信の度合いが日本にいるときよりもなかったりする。口を手で隠していたりしたので、あんまりよくないな、自信を持たなきゃなと思ったんです。 堂々とした振舞いを意識しながらステージに入った角野だったが、そこで予想外の出来事があったという。 角野:お辞儀をして、座って、ジャケットのボタンを外して、ふと下を見たら、ズボンのチャックが開いていましてですね。めちゃくちゃ自信を持って入ったのにチャックが開いていたと思って、またそこで自信をなくしたんですけど、(そこから演奏する)ショパンのコンチェルト2番っていうのは非常に繊細なコンチェルトでありますから、そんなに自信を持って弾くような音楽でもないんですね。だから、それはそれでちょうどよかったのかもしれないです。 角野はショパンの二番の二楽章について解説する。 角野:ショパンのコンチェルトは2曲ありまして、実は1番よりも2番のほうが先に作曲されてるんですね。ショパンはどういうわけか、あとに作曲したほうを1番と名前をつけて最初に出版してるんですけど、2番は1番以上にショパンの繊細さが表れています。当時恋心を抱いていたコンスタンツィヤという女性へのラブレターのようなものだと、ショパン自身が言っていることもあったんですね。ですので、この曲は200年前のラブソングですね。ショパンが20歳頃の作品です。