トー横の相談施設、安全どう確保? 全員受け入れ、問題起こす人も 東京・歌舞伎町
孤独や課題を抱える若者をサポートする目的で開設された東京都の相談施設「きみまも@歌舞伎町」(新宿区)は、支援が行き届くよう「全員受け入れ」を原則としている。 【写真】歌舞伎町の新宿東宝ビル周辺で、若者が集う「トー横」と呼ばれる地区 ただ、施設内でひわいな行為をしたとして20代の男らが逮捕される事件も発生。問題行動を起こす人への対応が課題だ。都は、施設を必要とする人にとっての使いやすさと安全確保の両立に向け、試行錯誤を重ねている。 施設は「トー横」と呼ばれる一帯に、2024年5月に開設。周辺に集う少年少女「トー横キッズ」が非行や犯罪に巻き込まれる事案が相次ぐ中、若者を公的な支援につなげることを目的に、社会福祉士らが相談に乗っている。開設当初は、自身の個人情報を施設側に伝えることに抵抗感がある人も使いやすいよう、匿名による相談も受け付け、利用に際しての心理的なハードルを極力低くする工夫がされていた。 ところが、開設後はトラブルが目立つように。関係機関が集まった会合では「悪意のある大人の出入りがあると思われる」「ビル内で迷惑行為が確認された」といった報告も示された。都によると、薬物を過剰摂取したことを周囲の利用者に語ったり、「パパ活」に関する話をしたりする利用者もいたという。 こうした状況を受け、都は元警察職員の配置や警備員の増員といった対策に乗り出している。ただ、全員受け入れの原則を維持する中、口コミを通じて利用者が多い状態が続いていることもあり、トラブル発生への懸念は尽きないのが実情だ。 とはいえ、利用者側からは「就労できた」「家出から戻ってきた」など、相談対応を評価する声が寄せられており、施設の必要性は高まっているという。都の担当者は「試行錯誤しながら、目の前の課題に対処していくしかない」と話している。