「推し仏」に癒やされ 「苦行頑張った」「優しいお顔」 まるごと奈良博、初日からにぎわう
金沢市の石川県立美術館で6日開幕した奈良国立博物館展「まるごと奈良博」は、初日から至高の仏教美術に心を癒やす多くの人でにぎわった。熱心に仏像に向き合う愛好者から、「ウシに乗っている仏さまがかっこいい」と目を輝かせる子どもたちまで。幅広い年齢の来場者が「推(お)し仏(ぼとけ)」を探して会場を巡った。 【写真】開場を待ちわびる人の列=6日午前9時20分 ●西荒屋小の児童鑑賞 同展では奈良博が所蔵する仏教美術品を10章に分けて紹介し、1400年の国内仏教美術史をたどる。 初日は能登半島地震の被害に見舞われた内灘町西荒屋小の児童10人が鑑賞に訪れた。「出山釈迦如来立像(しゅっせんしゃかにょらいりゅうぞう)」の前では、児童らが6年間の苦行を終えて下山する釈迦の像に見入った。骨が浮くほど痩せた姿に「苦行を頑張ったのが分かる」「それでも歩くのがすごい」と興味津々だった。 一部作品には小中学生向けの解説文も付けられている。「リラックスしたポーズで座っている」と紹介される重要文化財「如意輪観音菩薩坐像(にょいりんかんのんぼさつざぞう)」が気に入ったという西荒屋小4年の太田幸花さんは「優しい顔をしていて、願い事をかなえてくれそう」と話した。 平安時代の阿弥陀如来坐像(あみだにょらいざぞう)に心が和んだと話すのは富山市の会社員市川千秋さん(69)。「国宝の仏像も素晴らしいけれど、子どものような等身の阿弥陀さまに引かれた。たくさん仏像があるので、きっと推しを見つけられると思う」と語った。 開会式では主催者を代表して馳浩知事、砂塚隆広北國新聞社社長があいさつ。来賓の善田善彦県議会議長、村山卓金沢市長、井上洋一奈良博館長が祝辞を述べた。青柳正規県立美術館長、特別協賛として内灘町以北の小中学生の入場無料化に協力したDMG森精機(東京)の川島昭彦シニアエグゼクティブフェローが加わり、テープカットした。