夫婦生活のリアルとタブー。ごまかしきれなくなった“公認不倫”のほころび 『1122 いいふうふ』1~3話
セックスレスでもつながりがある相原夫婦の一方で
そもそも恋愛は多くの人にとって少なからず“非日常”であるのに対し、生活を共にする結婚は“日常”だ。日常はすぐに慣れてしまうのに対して、恋愛が持つ吸引力は爆発的だ。 だからこそ、夫婦の間にセックスがないからといってその関係が破綻(はたん)するものでもない。第2話では、幼少期から折り合いが悪い一子とその母親の間に入りケアする、潤滑油のような二也の姿が描かれた。 相原夫婦が一子の実家に帰省した夜、布団の上で一子の辛かった幼少期の思い出に耳を傾けながら、「一子ちゃんが辛くならない方法を考えよう。俺もいるし」「一子ちゃんは優しいよ。俺、よく知ってる」と言葉を重ねる二也の姿には、惚れた腫れたではない夫婦の絆が滲(にじ)む。これからもずっと一緒にいることを前提にした自然な発言に、一子も心底安堵(あんど)したことだろう。セックスこそ拒まれたって、パーソナルでいまだに傷口が痛むようなトラウマをしっかりと受け止めてくれ、寄り掛かれる二也という存在は、一子にとってやはり正真正銘のかけがえのないパートナーであり、夫婦なのだろう。 そして、こんなふうに相手にすんなり寄り添える二也だからこそ、美月が惹かれてしまうのも納得できる。 二也は、成長が遅れているという美月の息子も一緒に3人で外出しよう、と誘い、思いっきり公園で遊んでくれる。息子がぐずるのをあやすようにお願いしたって、我が子なのに「俺じゃ無理だよ」と平気で言い張るモラハラ気質の美月の夫・柏木志朗(高良健吾)とのコントラストが凄(すさ)まじい。「主婦はやることいっぱいでしょ」と当たり前に言える二也と、子育てを含む家のことは専業主婦である美月の担当だとパキリと役割分担する志朗。それに、志朗が、占いの先生に心酔する自身の母親の暴走さえ止めてくれないとなれば、そりゃあ美月が家庭外に救いを求めたくなるのも頷(うなず)ける。 暖色系のライトに包まれており2人向き合って食卓を囲む相原家に対して、柏木家では蛍光灯の光が鋭く差し何だか冷たさを感じさせるのも印象的だ。