公共ホール相次ぐ休館なぜ? 屋内イベントを開催できない…劇団四季も卒演も悩ます苦境は、全国に広がっていた
ストリートダンススタジオJAM(鹿児島市)の中園竜弥代表(45)も、会場予約に苦労する一人だ。近年はダンススクールの活動が盛んになっていて「鹿児島はもともと施設が足りない」と指摘する。 練習するための体育館を借りようとしても、先に行政の行事が入っているなどして空きがない。年1度の発表会も一昨年は会場が見つからずに開けなかった。「発表会を目標に練習する生徒やサポートする保護者のモチベーションが下がってしまう」と残念がる。 中園代表は「ホールの改修工事が必要なのは十分理解している」としたうえで、「時期を分散してほしかった。市民が施設の予約をもっと取りやすい環境にしてほしい」と注文する。 ◇つり天井耐震化、電気設備や空調も… ホールの改修に伴う休館は全国的な傾向だ。1970~80年代に集中して建設された劇場や音楽ホールなどが築30年を超え改修の時期を迎えている。さらに、東日本大震災で落下が相次いだつり天井は、2014年に国が耐震基準を定め、適合工事が増えている。
築50年を超えた宝山ホールは県が18年に約4億円をかけ、つり天井の耐震化を実施した。昨年以降に改修の実施や計画がある鹿児島市内のホールは、いずれも築21~41年が経過。鹿児島市は基準を満たすため、順次工事に入る。同市建築課の甘利敏行課長(59)は「客席に足場を組む必要があり、休館以外に方法がない」と説明する。 全国公立文化施設協会(東京)によると、正確な件数は把握していないものの「施設の改修に伴う休館は増えている」と断言する。耐震化に加え、設備更新が相次いでいることも要因だという。更新目安は電気設備で20~25年、空調で15~25年、衛生設備で15~20年とされている。 音響や照明、舞台装置には基準はないものの、時代の変化に合わせ更新する必要がある。ある施設の改修担当者は「高価なので、どこの施設も修理しながらだましだまし使っているのが現状」と明かす。
南日本新聞 | 鹿児島
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