西山朋佳女流三冠、“二刀流”への自信がプロ棋士編入試験受験の即断あと押しか
将棋の西山朋佳女流三冠(29)=白玲、女王、女流王将=が4日、東京・渋谷の将棋会館で指された朝日杯オープン戦1次予選で阿部光瑠七段(29)に勝利し、直近の公式戦成績が13勝7敗に到達。10勝以上かつ勝率6割5分以上のプロ棋士編入試験受験資格を満たした。取材に応じた西山は「受験させていただこうと思います」と受験の意思を表明した。 * * * 西山の充実ぶりについては、女流棋界のタイトルを二分するライバル・福間の存在が挙げられることが多いが、それだけではない。 三段リーグ時代、西山は女性で最も棋士に近づいた。だが、まだ棋士にはなっていないのに、女流棋界ではタイトルホルダーであるという複雑な立場のまま戦いを続け、心身ともに疲弊していた。当時の苦しみを「長く生きられないんだろうなと思っていた」と振り返る。 だが、女流棋士になって3年。今、西山は生き生きしている。奨励会との二足のわらじを履くのをやめ、立場で戸惑う必要もない。「明るく前向きにやっていけそうかな」と、しっかりと居場所を見つけたように見えた。女流のタイトル戦を戦い続けながら、出場可能な男性との一般棋戦にも出続けてきたが「体調もいいんです」。男性棋士にぶつかるその手は、のびのびと盤上を動き、結果も伴っていた。 もし棋士になった場合、今度は「女流タイトルホルダー」と「女性初の新人棋士」という2枚の看板を同時に背負うことになる。だが、経験を経て、今ならできるという自信が、この日の即断につながったのだろう。(瀬戸 花音)
報知新聞社