バズる動画「意外性だけでなく共感を持ってもらえるかが大事」…福岡市の大学でデジタル人材育成に力
大学教授 藤井資子さん(50)
「今日は『バズる』動画について考えます」。今月6日、九州産業大(福岡市東区)で行われた「経営情報論」の講義。同大商学部教授の藤井資子さん(50)は学生にそう語り、米国でユーチューブやSNSに投稿されて話題を呼んだ動画を紹介した。 【写真】読売巨人軍から2位指名された九州産業大の浦田俊輔選手
一つはパトカーの車載カメラに映る警察官。運転しながら人気の曲に合わせて軽快に体を揺すらせている。親近感を持ってもらう目的の動画だが、学生からは、「パトロールを楽しんでいて良いのか」という声もあがり、賛否は分かれた。
藤井さんは「短時間に関心を引かないと見てもらえないが、意外性だけでなく共感を持ってもらえるかが大事」と解説。「就活やプレゼンテーションでも同じことが言える」と語った。
ネットのビジネス活用やスタートアップを専門にしている。今春、10年以上生活した熊本県を離れ、福岡を新たな挑戦の場に選んだ。「若い人と元気な企業が多く、研究のフィールドとしてとても魅力的。SNSやネットを職場でうまく活用する即戦力を育成していきたいと思い、福岡を選択した」と語る。
自身の大学時代にネットは普及していなかった。就職氷河期の1997年に入社したNTTは、様々な業種に応募して残った会社だった。2年後に設立されたグループ会社で、「ADSL」をはじめとする当時の高速通信を提供する事業者と仕事をし、「これから世の中が大きく変わっていく」と一念発起。退社して大学院に進学した。研究員、教員となってデジタル技術の進展を追究する一方、「日本は各分野で、技術と関係法令を理解して活用する人材が足りない」と感じ、人の育成に力を入れてきた。
「東京では見られなかった情熱」
福岡での生活は2回目。前回は2010年秋から半年間、九州大の研究員として起業に関する指導の計画作りを担っていた。
当時は、若者から年配まで起業家たち20~30人が集まる場に顔を出すと、互いの悩みを夜遅くまで語り合い、自身もアドバイスを求められた。「東京にいる時に見られなかった情熱を感じた」と振り返る。「福岡市の創業支援も充実していて挑戦する人を応援しようという気風がある。いつか福岡に戻ろう」との思いがあったという。