通天閣の名前も看板もそのまま 南海電鉄傘下に入る運営会社、株式譲渡は27日に
南海電気鉄道は4日、大阪・新世界の観光名所「通天閣」を保有・運営する通天閣観光(大阪市浪速区)の発行済み株式の70・8%を取得し、子会社化すると正式発表した。南海は通天閣と周辺に保有する資産・鉄道路線などを連携させ、難波―新今宮駅を起点とした沿線開発計画「グレーターなんば」構想を加速させる。通天閣観光も、資産規模がより大きい南海グループに入ることで、より安定的な発展を目指す。 南海電鉄、通天閣観光を子会社化へ 株式7割取得を決定 株式の譲渡は27日付で実施。譲渡額などは非公表。通天閣の名称などはそのまま残る。通天閣観光の現在の経営陣は、意向確認の上で留任する見通しだが、南海側から役員を送り込む。通天閣観光は今年度中にも臨時株主総会を開催し、新たな経営体制を確定する。 現時点で通天閣を建て替える計画はなく、特徴的な日立製作所の看板なども続ける。一方で来春には2次元コードを活用した入場システムの導入なども検討。南海の乗車券や周辺飲食店などとのセット販売により周遊観光を促すことでエリア全体の活性化を図る。 通天閣下でこの日、南海と合同で記者会見した通天閣観光の高井隆光(りゅうこう)社長は、南海の沿線開発計画を踏まえ「通天閣がグレーターなんばの中心で情報を発信し光り輝けるような、ランドマークであり続けたい」とし、傘下入りによる相乗効果を追求すると強調した。 南海電鉄の岡嶋信行社長兼COO(最高執行責任者)は「飲食や宿泊、小売り、エンタメ、そして南海電鉄の本業である運輸業をかけ合わせ(地域でシェアを確立する)ドミナントの形成をまず考えたい」と語った。(田村慶子)