【ボクシング】世界ユースVの7冠ルーキー坂井優太がTKOでデビュー2連勝「次はランカー」
<プロボクシング:フェニックスバトル123大会>◇17日◇東京・後楽園ホール◇日刊スポーツ新聞社後援 22年世界ユース選手権バンタム級制覇などアマ7冠を誇るスーパールーキー坂井優太(19=大橋)がデビュー2連続KO勝利を飾った。スジャリッチョン・スランパイ(タイ)との54・0キロ契約体重8回戦に臨み、2回1分18秒、TKO勝利。実力を認められ、2戦目で迎えたA級(8回戦以上)初戦。わずか2回で相手を沈める圧勝劇をみせつけた。 前日計量で55・3キロと体重超過し、試合当日の契約体重(58・3キロ)を58・0キロでクリアしてきたスジャリッチョンに対し、1回から鋭い右ジャブから左カウンターで圧倒。2回には左ストレートで右ボディーからの右フックでダウンを奪取。さらに左ストレートでダウンを追加すると、再び立ち上がってきた相手に右フックを浴びせ、レフェリーストップに追い込んだ。 坂井は「想定通りにいけた。相手のレベルもあるので点数では表せないが、相手の体重超過だったり、いろいろあったので経験として良い2戦目になった」と安堵(あんど)の笑み。相手の体重超過に対しても「ファンの人に試合をみせられないのが1番、嫌なので。遊びじゃないので、しっかりやってほしい」と口にした。 今年6月のプロデビュー戦は当時の韓国スーパーバンタム級3位キム・ジヨンとのバンタム級6回戦で1回TKO勝利。約4カ月ぶりのリングだった。坂井は「前回は緊張していたみたいで自分でコントロールできていなかった。この4カ月間でまた一から想定して、焦ることなくできました。冷静に試合はできたと思います。もっと焦らずにカウンター2つぐらい惜しいのがあったので当てられたらなと思いました」と自ら課題を挙げていた。 次戦は未定ながらも、年内にもう1戦を希望している。実現すれば今年3戦目となる。坂井は「次は、できればランカーと試合がしたい。ああいうはらはら感がある相手の方がパフォーマンスも上がると思う」と期待。所属ジムの大橋秀行会長(59)のマッチメークを楽しみに待っていた。 坂井は同門の4団体統一スーパーバンタム級王者井上尚弥(31)の愛称にあやかり「モンスター2世」と呼ばれ、大橋秀行会長(59)から「(24年の)大橋ジムのドラフト1位」と大きな期待を寄せられる大器だ。日本男子3人目の世界ユース制覇を含むアマ7冠(高校6冠)、アマ47勝1敗と堂々たる実績を持つ。昨春まで大学進学、オリンピック(五輪)出場を目標に掲げていた。 しかし国際ボクシング連盟が国際オリンピック委員会に組織の管理体制を問われ、ボクシング競技の五輪開催も危ぶまれていた時期があり、進路を悩んでいた。その頃、大橋ジムから誘いを受け、昨年6月に1度、出げいこを経験。井上から「結局、自分の覚悟だよ」と進路決断へのアドバイスを受けた。約1週間、幼少から指導を受ける伸克さんの意見にも耳を傾け、プロ転向を決めていた。 ◆坂井優太(さかい・ゆうた)05年5月27日、兵庫・尼崎市生まれ。小学1年から社会人野球を経験していた父伸克さんの勧めで、親子二人三脚でボクシングを開始。西宮香風高でボクシング部に所属し、1、2年で総体、選抜を連続制覇。2、3年時に国体連覇して高校6冠を獲得。22年世界ユース選手権バンタム級で優勝した。アマ戦績は47勝1敗。身長173センチの左ボクサーファイター。