老舗寿司チェーン「かっぱ寿司」でひとり飲みの興奮。100種類以上ある“110円メニュー”すべてが極上の肴だ
カオス感のある軍艦巻き
こぼれカニカマコーンマヨ鬼ペッパー包みだけは、海苔で巻いてそのカオス感を、開発者の想いとともにひと息に味わうのが良さそうだ。とにかく、楽しくなってきたぞ! 予想どおりにそれぞれが、寿司でありながらいい酒のつまみでもあり、それらをひとりじめする自由な時間が最高に楽しい。こぼれかにカマコーンマヨ鬼ペッパー包みは、記載されているすべての食材の味がそのまま口に広がるという感じで、ちょっと微笑ましくも、うまくないわけがない。 さて、そろそろ身も心も大満足だ。ただ、最後にもう1皿くらい、ザ・寿司! みたいなメニューを味わって帰ろうかな。こんなとき、豪放磊落な好漢ならば、やっぱり「みなみ鮪大とろ」あたりを選ぶんだろう。読者のみなさまだってそういう寿司を見たいだろう。けれども、たった1貫で374円もする。勇気が出ない。とか言って、さっき頼んだ日本酒のほうがもっと高いんだけど、なぜか酒だけは躊躇なく頼めてしまうのが酒飲みの悲しさだ。 結果、すみません、今回は「大切りとろびんちょう」(110円)でご容赦いただけたらと。 しかし! やってきたそれは、看板に偽りなしの大切りで、口に運んだ瞬間にとろけだす絶品だ。じゅうぶんうまい! あ~、もうなにも思い残すことはなし。 なんて言いつつ、回転寿司で本当に思い残すことがなかったためしはない。あれも食べたかった、これも食べたかった、やっぱり大とろにしておけば……などとうじうじしつつ、結果、もう少しだけ食べすぎることになる。 今日もまた、大好物のいかゾーンから、「いか食べ比べ(やりいかゲソ・真いか)」(110円)を追加してしまうのだった。 やっぱりうまいな、いかは……。 回転寿司飲みの可能性は、店舗と酒飲みの数だけある。ほぼ無限だ。それにしても、久々のかっぱ寿司、すごく良かったな。アプリで情報をチェックしつつ、また飲みに行くことにしよう。 <TEXT/パリッコ> 【パリッコ】 1978年東京生まれ。酒場ライター。著書に『酒場っ子』『つつまし酒』『天国酒場』など。ライター・スズキナオとのユニット「酒の穴」としても活動中。X(旧ツイッター):@paricco
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