なぜ独身時代から「賃貸」でなく「持ち家」にすべきか 元メガバンク支店長が教える「お金を回す仕組みづくり」
物価高が続き、給料も上がらず、なんとなく生活が苦しい時代。長生きリスクが心配でこの先、お金に困らない生活を送るには……。お金に関する「教えて!」を解決する短期連載の最終回のテーマは、「これから安心して生きるために」。元メガバンク支店長でお金の専門家・菅井敏之さんに、貯蓄も投資も節約も苦手の、バブル時代に青春を謳歌した筆者(バブル女子)が聞きます。教えて、菅井さん! 一生お宝になるかも!?【大型の高配当株30銘柄】はこちら! ――世知辛い世の中。報道される闇バイトのニュースを見るにつけ、胸が痛みます。 菅井:若者が闇バイトに手を出す背景として、非正規採用の増加など雇用の劣化による若者の貧困化があると思います。正規雇用であっても、過重労働で時給換算すれば非正規雇用とさほど変わらない。手取りも少なくいつも生存ギリギリ。まだ20代なのに老後のことを心配しなければならない閉塞感があります。だからなのでしょうか。今は多くの若者が限られた手取りの中でやりくりをしてしっかり貯蓄までなさっていますね。 ■住宅購入を検討すべき ――でも、それだけでは安心できない人がほとんど。物価高ですし、何歳まで生きるかわからないです。借金をしてでもお金を回す仕組みをつくっておくべき、ということでしたね。 菅井:はい。お金に困らない人生を歩むための着実な一歩が、低い金利の住宅ローンを活用した住宅購入です。住宅ローンの利息分は銀行に払う経費ですが、元金分は返済が進めば自分の資産になります。多くの方が結婚して子どもができてから「そろそろ」と家の購入を検討されますが、20代の若い独身時代から住宅購入を検討すべきです。一生住み続ける家ではありません。資産目的の家と割り切る。将来貸しやすい、売りやすい資産性の高い家を購入して「資産」を作るべきです。そもそも資産というものは、負債(借金)と純資産を合わせたものです。
――連載1回目の復習ですね。 菅井:毎月の家賃を払っているぐらいでしたら、独身の若い方なら中古の30~40㎡くらいのマンションを買ってみてはどうでしょうか。そして結婚まで自分が住んでおき、結婚した時に売却するなり、賃貸に出すなりすればよいのです。 ――結婚といえば、菅井さん。銀行員時代に結婚相談にも乗っていたとか。 菅井:そうなんです(笑)。取引先の企業さんとか、地元の大家さんとか顔なじみになってくるといろんな話になる。うちの子が独身なんだけど……という相談もありました。本来、銀行って、そういう色々なお困りごとの相談場所であるべきだと思うんです。信頼がすべて。ネットワークがすべてかと。 ――どれだけAI社会が進んでも人にしかできないものがありますね。それは人と人の結びつきです。 菅井:私は、税理士の資格も宅建の免許も持っていません。CFP(公認ファイナンシャルプランナー)の資格だってありません。でも私には持っているものがある。それは人脈です。多方面で活躍されるさまざまな人々、たくさんの優秀な方たちとつながっています。そういうものを常に持って、丁寧な人付き合いをしていくことがビジネスで成功していく秘訣かもしれませんね。 ■ストレスがない生活 ――冒頭で闇バイトに触れましたが、もしも本当に切迫した事情でお金が必要で「助けて」と言える環境があれば、もしかして誰かの命が失われなかったかも……。人とのつながりの薄さを感じざるを得ません。残念です。 菅井:誰かの喜ぶ顔が自分の働く喜びになる。そんな経験を沢山しながら育った子どもは、大人になってからも働く意味や自分の生きる意味を見失うことはないと思います。誰かの「困った」を発見し、それを自分が「解決」する。その対価として「お金」を得る。第二の人生にやりがいを求めてボランティア活動に取り組まれる方もいらっしゃいますが、長続きしないケースも見てきました。どうしても疲弊してしまうんです。お金は「消しゴム」みたいなもので、それによって人間関係をニュートラルにすることができるものです。前回で触れた「ライフワーク」と「ライスワーク」。これを分けて考える方が、ストレスがない生活が送れる気がします。