「日本アニメの影響を受けた」ベイマックスのD・ホール&C・ウィリアムズ両監督にインタビュー
ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオの最新作映画『ベイマックス』が12月20日に公開された。『ベイマックス』は、東京とサンフランシスコを融合したかのような架空都市「サンフランソウキョウ」を舞台に、主人公で天才科学者の少年ヒロが、ケア・ロボット「ベイマックス」とともに、事故で亡くした兄とのかけがえのない絆と自身の優しさを取り戻す物語。アニメ『ガッチャマン』や宮崎駿監督の作品などに影響を受けたというクリス・ウィリアムズ監督とドン・ホール監督に、この作品が受けた日本文化の影響や映画の見どころについて聞いた。 ――「優しさ」が随所に現れる作品のようですが? ウィリアムズ監督:この作品の中心となるメッセージの1つとして身近な人をなくした時のことを語っています。身近な人がいなくなってしまったとしてもその存在があなたのなかから消えてなくなってしまうことはない、ということです。そうした存在は、いなくなってしまった後もあなたの決断や選択の随所に影響を与えていくでしょう。もう1つの大切なメッセージは人は誰でも多大な潜在能力を持っているということです。知恵やエネルギーを駆使して正しくその力を使えば誰もがすばらしいことをできるのです。その潜在能力を最大限活用することは私たち/人々の課題です。 ――ベイマックスのキャラクターはどのようにして生まれたのか? ホール監督:とても早い段階から、今までに見たことのないロボットの映画にしたいと考え、ただ魅力的なだけでなく、抱きしめたくなるようなロボットをイメージしました。そこで、リサーチのためにカーネギーメロン大学やマサチューセッツ工科大学、ハーバード大学等さまざまなロボット研究所に足を運びました。その中で、カーネギーメロン大学ではソフトロボティクスという医療分野の最先端技術を研究していました。そこでは、ビニール素材を使って、柔らかく自在に動かせるロボットを創っていました。それはまさしく、抱きしめたくなるようなロボットでした。ベイマックスの心優しく、慈悲深く、寛容な介護ロボットというキャラクターはそのソフトロボティクスの技術からアイディアを得ています。 ウィリアムズ監督:私は日本のデザインに精通している訳ではありませんが、個人的には日本のデザインの最大の魅力は物事の本質を浮き彫りにできるところにあると思っています。ベイマックスは日本のシンプルなデザインが実現するような特長を効果的に取り入れるようにしました。実際に目が2つついているだけで口がなく、このシンプルさは私なりに日本的なデザインの本質を表したものです。また、動作も限られていて瞬きと少し頭を動かすことができるくらいです。そうしたすごく限られた表現しかできないこともアニメに向いているのです。観客は限られた動きのなかからベイマックスが何を感じているのか察して理解しようとしながら共感性を高めていきます。