浦和レッズ新監督が標榜する「強度の高い攻撃的なサッカー」。大型補強、ゲームの支配、日々の学び…目指す悲願へのロードマップ
いよいよ今年も待ちに待ったJリーグが開幕する。オフシーズン最大の補強を敢行して今季に挑むクラブが浦和レッズであることに異論を挟むサッカーファンは少ないだろう。昨年確立した堅守をベースに、課題であった攻撃面において前線の3枚に大型補強を行い、ペア・マティアス・ヘグモ新監督の下、超・攻撃的サッカーを標榜する浦和は今季どのような戦いを見せてくれるのか。 (文=佐藤亮太、写真=アフロ)
クラブの本気。決して看板倒れではない“大型補強”
Jリーグ2024シーズン開幕直前。平日ながら見学スタンドで公開練習を見守るファン・サポーターの多さと取材するメディアの多さに、今年のJ1浦和レッズへの期待度はここ数年にない高さにあると感じさせる。 また、それ以上にクラブの今季に懸ける本気度がひしひしと伝わる。 FC東京からMF渡邊凌磨、名古屋グランパスからFW前田直輝、清水エスパルスからFWチアゴ・サンタナら主力級を補強するとともに、ベルギーのKVCウェステルローからMF松尾佑介が復帰。さらにイタリア・セリエAのASローマからMFオラ・ソルバッケン、スウェーデンのBKヘッケンからMFサミュエル・グスタフソンが加入した。 1月14日に開かれた新体制会見で田口誠代表が「強化スタッフはよく頑張った」とねぎらうほどのこれ見よがしの補強を首尾よく敢行。ただし、近年稀に見るこの「大型補強」も決して看板倒れではない。無責任に財布を預けてしまう代理人任せの補強ではなく、強化を司るフットボール本部がさまざまなデータを駆使したうえで選手を選定。 クラブ・チームが求めるプレーに対し、この選手はどのくらい能力を発揮するのか。能力に見合う適正価格なのかなど、試行錯誤の末、今季は名と実が伴う補強ができたといえる。 クラブが目指す強くて魅力あるチームに向け、ここ数年の懸案事項の得点力と決定力の向上や、昨年露呈した戦力として起用できる選手層の薄さとそれに伴う過密日程による選手の消耗など、課題を踏まえた補強を実施した。 補強に関して付け加えると、埼玉にゆかりのある選手が増えている傾向にある。 前述の前田は旧浦和市(現さいたま市)、渡邊は東松山市、松尾は川口市の出身。FC岐阜から戻ってきた宇賀神友弥は戸田市。加えて、伊藤敦樹と髙橋利樹はさいたま市、関根貴大は鶴ヶ島市、吉田舜は熊谷市、安居海渡は川口市、早川隼平は川越市出身。 埼玉出身選手が増えたことについてフットボール本部の西野努テクニカルダイレクター(以下・西野TD)は「たまたまというのが正しいかもしれません」と語る一方、「もし同じ力量の選手ならば、ゆかりのある選手を取りたい」と説明。 特別意識してはいないが、浦和レッズというクラブ・チームを小さいころから知っている選手のほうがなじみやすく、また観客動員数にも少なからずつながっていくはずだ。