鳥獣被害防げ! 課題解決をビジネスに
今週のけいナビの特集は、鳥獣被害を防ぐために北海道内の企業が開発した製品について。道内では近年、ヒグマの目撃などの通報件数が増加。道警の調べによれば、2023年は過去5年で最も多い4055件に上った。24年も8月の時点で2000件近い通報が寄せられている。 こうした状況の中、MCの杉村太蔵さんが訪れたのは、空知の奈井江町にある機械加工メーカーの太田精器。同社が2016年に開発したのが、「モンスターウルフ」という製品だ。テレビや新聞で多く取り上げられ、全国各地で約250件の導入事例がある。 野生動物の天敵はオオカミだという話を専門家から聞き、開発に踏み切った。同社はもともと、LED製造の技術を持っていたことから、野生動物が近づいた時にセンサーが作動し目や尻尾の部分が激しく点滅する製品が完成。2018年から量産し始めた。事前の調査費や設置費を含めた1台当たりの価格は50万円から55万円だ。
野生動物に畑を荒らされてしまう懸念がある農家への納品が多いという。これまでの約250件の納品先からのクレームはゼロ。太田裕治社長は「クマやシカが多く発生し、何とかしてほしいというたくさんの声が寄せられていた。100パーセントとは言えないが一定の効果はある」と話す。海外で特許を申請中だという。 現在、自動で動いて野生動物の侵入を監視する新製品「ウルフムーバー」を開発中。太田社長は「北海道だからこそ生まれた製品。農家の守り神のような存在になってほしい」と意欲を見せている。 モンスターウルフは、高速道路への野生動物の侵入防止にも一役買っている。ネクスコ東日本北海道支社は、道央自動車道苫小牧中央ICの乗り口に2台設置。自動車と野生動物がぶつかる事故が減少傾向にあるとし、今後も対策を強化する方針だ。 太田精器のほかにも、鳥獣被害対策用の製品を開発する企業はある。当別町のファームエージは、電気柵の販売を道内でいち早く始めた。高さが2メートルを超えるシカ用金網フェンスも主力の製品だ。