“年末年始”にガチッとハマった『おむすび』の仕掛け ハッピーエンドの金曜日の狙いを聞く
NHK連続テレビ小説『おむすび』が現在放送中。平成元年生まれの主人公・米田結(橋本環奈)が、どんなときでも自分らしさを大切にする“ギャル魂”を胸に、栄養士として人の心と未来を結んでいく“平成青春グラフィティ”。 【写真】今週のハイライトとなった歩(仲里依紗)の全力パラパラシーン 2024年最後の放送となった第65話では、プロ野球への道を絶たれ弱気になっていた翔也(佐野勇斗)に、結が「うちは翔也に幸せにしてもらおうなんて思っとらん。2人で幸せになる。なにがなんでも2人で幸せになる。やけん、うちと結婚してください」と逆プロポーズ。翔也は「あぁ」と笑顔を見せ、見事なハッピーエンドを迎えた。 第12週から漂っていた不穏なムードを吹き飛ばすポジティブな展開について、制作統括の宇佐川隆史は「年末を意識して作ったことは間違いないです」と打ち明ける。
「年末に向けて、みなさんに何を考えてもらうのがいいのかなと思ったときに、やはり“人生”というところがあって。そこには、人によって上り調子のときもあれば、下がり調子のときもある。第13週で結は仕事も少しずつ認められてきたけれど、一方の翔也は苦しい状況に置かれていたように、人生の浮き沈みは必ずしもみんなが一致するわけではないんですよね。その悲喜交交(ひきこもごも)が、この2週の中で見えてくればいいなと思っていました」 さらに、「第12週も第13週も、いろいろな人にとって『自分が生きるために何を大事にしているのか』を考えるきっかけが生まれる週。ですから、週タイトルにも『働くって何なん?』『幸せって何なん?』と大きなテーマを掲げています」とし、「そこを1週ごとに描くのではなく、2週の大きな流れとして見せていく。さらに年明け最初の週は『結婚って何なん?』をタイトルとしていますが、3週にわたって“人生について様々な側面から考えること”を意識して描いています」と説明した。 例年、年末年始の朝ドラは週の途中で10日程の放送休止期間に入るが、今年は金曜日(12月27日)が年内最後の放送日で、年明けは月曜日(1月6日)から始まるという理想的な放送スケジュール。 宇佐川は「最初から放送スケジュールをふまえて考えていました」と、この暦ゆえの物語構成であったことを明かし、「12月の後半になると、みんなが今年を振り返るムードになっていきますよね。『おむすび』としては、焦らず丁寧に“人の浮き沈み”と“心の機微”を追いながら、これまでを振り返るような流れにしていきたいと。その中で、年内最後の日に何を描くのかは、すごく大事にしました」と思いを語る。 「もしこの週の放送が金曜日までなければ、逆プロポーズは描かなかったかもしれません。なにより、みなさんに気持ちよく、温かい気持ちで新年を迎えてほしいという思いもあって、脚本の根本(ノンジ)さんがあのような形にしてくれました。そして、年が明けて2週間ほどすると1月17日が訪れます。阪神・淡路大震災からちょうど30年目となるその日に何を描くのか。そのあたりもしっかりと見据えた上で考えています」 プロポーズも成功して幸せな日々の幕開けかと思われたが、第14週の予告では母・愛子(麻生久美子)から「勢いで結婚するって言ってない?」と指摘されるなど前途多難の予感。ようやく結ばれた2人がどんな絆を見せてくれるのか、2025年も『おむすび』から目が離せない。
nakamura omame