映画.comが選ぶ、2024年の映画ベスト10 1位は上映方式も話題になったあの作品
今年も気づけば年の瀬。皆さんはどんな1年間でしたか? 年末に今年見ることができた様々な作品を振り返る方も多いのではないでしょうか。そこで映画.comでは、昨年ご好評いただいた、年間映画ベスト10投票企画を今年も実施いたしました。 2024年に劇場公開および配信された映画を対象に、弊社スタッフやライターの方々が投票のうえ選定。TOP10作品を発表いたします。 ※対象作品は2024年1月1日~12月30日に公開・配信された映画が対象。 ※弊社スタッフおよびライターなど関係者に対してアンケートを実施。 ※各人が1位から5位まで作品を投票。それぞれ1位=5ポイント、2位=4ポイント、3位=3ポイント、4位=2ポイント、5位=1ポイントとし、スコアを合計し順位を決定。 ■第10位 「ミッシング」 2024年5月17日公開/119分/吉田恵輔監督 「空白」「ヒメアノ~ル」の吉田恵輔監督が、石原さとみを主演に迎えてオリジナル脚本で撮りあげたヒューマンドラマ。 主演を務めた石原さとみが「第49回報知映画賞」で映画では初の主演女優賞を受賞しました。愛する娘の失踪で心の均衡を崩していく母親を演じるにあたり、撮影期間は家にいるときも心が欠けた状態だったと語るほど役に入り込んだ演技に心打たれたという意見が多く出ました。 ▼推薦コメント▼ 口が裂けても「気持ちがわかる」なんてことは言えないけれど圧倒的な物量で感情が飛んできて、こちらの心も抉られる。心を掻きむしりたくなる。ただただ圧巻。 沙織里の娘・美羽が突然いなくなった。懸命な捜索も虚しく3カ月が過ぎ、沙織里は世間の関心が薄れていくことに焦りを感じていた。夫の豊とは事件に対する温度差からケンカが絶えず、唯一取材を続けてくれる地元テレビ局の記者・砂田を頼る日々。そんな中、沙織里が娘の失踪時にアイドルのライブに行っていたことが知られ、ネット上で育児放棄だと誹謗中傷の標的になってしまう。世間の好奇の目にさらされ続けたことで沙織里の言動は次第に過剰になり、いつしかメディアが求める“悲劇の母”を演じるように。一方、砂田は視聴率獲得を狙う局上層部の意向により、沙織里や彼女の弟・圭吾に対する世間の関心を煽るような取材を命じられてしまう。 ■第9位 「正体」 2024年11月29日公開/120分/PG12/藤井道人監督 染井為人の同名ベストセラー小説を、「ヴィレッジ」や「パレード」でもタッグを組んだ藤井道人監督と主演横浜流星で映画化したサスペンスドラマ。 先日発表された「第49回報知映画賞」では作品賞と合わせて主演男優賞を横浜流星が、助演女優賞を吉岡里帆が受賞しました。主要キャスト4人のインタビューでも役者同士の信頼についてなど語っていただきました。 ▶横浜流星×吉岡里帆×山田杏奈×森本慎太郎、それぞれの「信頼」と「疑念」 ▼推薦コメント▼ どのシーンからも、キャストと製作陣の本気が伝わってくる激アツなエンタメ映画でした! 追われる側と追う側で初共演を果たした横浜流星さんと山田孝之さんの演技バトルは、凄まじかった! 日本中を震撼させた凶悪な殺人事件を起こして逮捕され、死刑判決を受けた鏑木慶一が脱走した。鏑木を追う刑事の又貫征吾は、逃走を続ける鏑木が潜伏先で出会った人々を取り調べる。しかし彼らが語る鏑木は、それぞれがまったく別人のような人物像だった。さまざまな場所で潜伏生活を送り、姿や顔を変えながら、間一髪の逃走を繰り返す鏑木。やがて彼が必死に逃亡を続ける真の目的が明らかになり……。 ■第7位(同点) 「ジガルタンダ・ダブルX」 2024年9月13日公開/172分/PG12/カールティク・スッバラージ監督 インド・タミル語映画界の鬼才カールティク・スッバラージ監督作で、映画好きなギャングの親分と彼を暗殺するため映画監督になりすました新人警察官の思いがけない運命を、激烈な社会批判を盛り込んだギャングスターミュージカル。 映画.comのレビューでも☆4.1と高評価をマークし、「圧巻のエネルギー量!今年ベスト級!」「インド映画ってこんなに面白いのかと改めてたまげた!(笑)」「映画愛!!が、てんこ盛り!!」など熱いコメントが多く集まっています。 ▼推薦コメント▼ 映画への“BIG LOVE"がここにありました。反骨アクション×社会派エンタメになっていき、悪人が善人へとガラッと転じる痛快さも放り込み、極めつけは大泣きするって――マジでこの映画どうなってんだよ!!!!!最高だろ!!!!!!と叫んじゃうほどのめり込んじゃった1本です。 こんなにも前半後半で印象違う映画はない!そして映画愛がこんなにもあふれていて最高すぎる!最後は嗚咽が出るほど泣きました。 【あらすじ】 1970年代のインド南部タミル地方。小心者の新人警察官キルバイは不可解な殺人事件に巻き込まれて投獄され、復職の条件としてギャングの親分シーザーの暗殺を命じられる。クリント・イーストウッドの西部劇が大好きなシーザーに接近するため、キルバイはサタジット・レイ門下の映像作家と身分を偽り、シーザーを主演にした映画の監督に立候補。シーザーはキルバイを抜てきするが、2人の運命は思わぬ方向へと転がり始める。 ■第7位(同点) 「インサイド・ヘッド2」 2024年8月1日公開/96分/ケルシー・マン監督 人間が抱く「感情」たちの世界を舞台に描き、2016年・第88回アカデミー賞で長編アニメーション賞を受賞したディズニー&ピクサーのアニメーション映画「インサイド・ヘッド」の続編。 世界累計興収16億9900万ドルを記録し、アニメーション映画として世界興収記録を塗り替えました。日本でも53.6億円と大ヒットしました。 ▼推薦コメント▼ “思春期の自分”を思い出してアイタタタ。でも、隣で観ている娘にも、もうすぐ思春期が訪れる。見終わったあとは、過去の自分と未来の娘をまとめてぎゅっと抱きしめたくなりました。親子喧嘩をする度に見返そうと思います。 【あらすじ】 少女ライリーを子どもの頃から見守ってきたヨロコビ、カナシミ、イカリ、ムカムカ、ビビリの感情たちは、転校先の学校に慣れ新しい友人もできたライリーが幸せに暮らせるよう奮闘する日々を過ごしていた。そんなある日、高校入学を控え人生の転機に直面したライリーの頭の中で、謎の警報が鳴り響く。戸惑うヨロコビたちの前に現れたのは、最悪の未来を想像してしまう「シンパイ」、誰かを羨んでばかりいる「イイナー」、常に退屈&無気力な「ダリィ」、いつもモジモジして恥ずかしがっている「ハズカシ」という、大人になるための新しい感情たちだった。 ■第5位(同点) 「オッペンハイマー」 2024年3月29日公開/180分/R15+/クリストファー・ノーラン監督 「ダークナイト」「TENET テネット」などの大作を送り出してきたクリストファー・ノーラン監督が、原子爆弾の開発に成功したことで「原爆の父」と呼ばれたアメリカの物理学者ロバート・オッペンハイマーを題材に描いた歴史映画。 第96回アカデミー賞では同年度最多となる13部門にノミネートされ、作品賞、監督賞、主演男優賞(キリアン・マーフィ)、助演男優賞(ロバート・ダウニー・Jr.)、編集賞、撮影賞、作曲賞の7部門で受賞を果たしました。日本では、2023年7月の全米公開から8か月後に待望の公開となりました。 ▼推薦コメント▼ グランドシネマサンシャイン池袋のIMAXで2回見ました。IMAXフルサイズの絵力と、やや複雑な構成ながらも現代に通じる挑戦的なテーマを描ききった物語に魅了されました。 【あらすじ】 第2次世界大戦中、才能にあふれた物理学者のロバート・オッペンハイマーは、核開発を急ぐ米政府のマンハッタン計画において、原爆開発プロジェクトの委員長に任命される。しかし、実験で原爆の威力を目の当たりにし、さらにはそれが実戦で投下され、恐るべき大量破壊兵器を生み出したことに衝撃を受けたオッペンハイマーは、戦後、さらなる威力をもった水素爆弾の開発に反対するようになるが……。 ■第5位(同点) 「エイリアン ロムルス」 2024年9月6日公開/119分/PG12/フェデ・アルバレス監督 リドリー・スコット監督による1979年の傑作「エイリアン」の“その後”を舞台に、エイリアンの恐怖に遭遇した若者たちの運命を描くSFサバイバルスリラー。 「評判通りの面白さと怖さ、一作目へのリスペクトを感じる素晴らしい最新作!」「マジでシリーズ過去1怖かった! 気づいたら息を止めていた……」などホラー映画ファンをはじめとして高評価レビューが集まりました。ディズニープラスで、25年1月1日から見放題独占配信が開始されるので、未見の方は是非正月のお供に! ▼推薦コメント▼ わたしは“恐怖”エネルギーが、心身の健康にポジティブに作用すると信じているタイプなので、この映画は“最高のデトックス”でした(5年若返りました)。とりあえず監督に伝えたいです。「よくもまぁ、そんな最悪&絶望シチュエーションを思いつきますね? 最恐で最高です」って。 【あらすじ】 人生の行き場を失った6人の若者たちは、廃墟と化した宇宙ステーション「ロムルス」を発見し、生きる希望を求めて探索を開始する。しかしそこで彼らを待ち受けていたのは、人間に寄生して異常な速さで進化する恐怖の生命体・エイリアンだった。その血液はすべての物質を溶かすほど強力な酸性であるため、攻撃することはできない。逃げ場のない宇宙空間で、次々と襲い来るエイリアンに翻弄され極限状態に追い詰められていく6人だったが……。 ■第4位 「デューン 砂の惑星 PART2」 2024年3月15日公開/166分/ドゥニ・ビルヌーブ監督 「メッセージ」「ブレードランナー2049」のドゥニ・ビルヌーブ監督がフランク・ハーバートのSF小説を映画化し、第94回アカデミー賞で6部門に輝いたSFアドベンチャー大作「DUNE デューン 砂の惑星」の続編。 第82回ゴールデングローブ賞でも最優秀作品賞(ドラマ)にノミネートされており、前作に続き今後の賞レースを牽引していくのかにも注目が集まります。 ▼推薦コメント▼ ドゥニ・ビルヌーブ監督のこれまでのキャリアにおけるピークだと思います。1作目よりも遙かに内容が詰まっていて満足度が半端ない。早くPART3が見たい。そして、何故に日本でヒットしない?(映画.com編集長 駒井尚文) 控えめに言って、人類史上最高のSF映画だと思っています!(ライター 内田涼) 166分という長い上映時間でも退屈に感じる瞬間が無く、時間的に仕方なくカットした場面がありそうだなと思わせる絶妙なタイミングで場面を切り替えている感じがしたので、カットされたであろうシーンを友人とあーだこーだ話すのも楽しかった。また主人公の出自の真相、政治ドラマとしての盛り上がりも良かった。 【あらすじ】 その惑星を制する者が全宇宙を制すると言われる砂の惑星デューンで繰り広げられたアトレイデス家とハルコンネン家の戦い。ハルコンネン家の陰謀により一族を滅ぼされたアトレイデス家の後継者ポールは、ついに反撃の狼煙を上げる。砂漠の民フレメンのチャニと心を通わせながら、救世主として民を率いていくポールだったが、宿敵ハルコンネン家の次期男爵フェイド=ラウサがデューンの新たな支配者として送り込まれてくる。 ■第3位 「グラディエーターII 英雄を呼ぶ声」 2024年11月15日公開/148分/R15+/リドリー・スコット監督 巨匠リドリー・スコットが監督を手がけ、アカデミー賞で作品賞や主演男優賞など5部門を受賞した「グラディエーター」の24年ぶりとなる続編。 「aftersun アフターサン」でアカデミー賞主演男優賞にノミネートを果たし、一躍脚光を浴びた主演のポール・メスカルと、トリックスターとして物語を駆動する謎の奴隷商人マクリヌスを演じた名優デンゼル・ワシントンのインタビューでは、監督から課せられた「ルール」など舞台裏を語っていただきました。 ▶ポール・メスカルが目撃したデンゼル・ワシントンの渇望 「グラディエーターII 英雄を呼ぶ声」の壮大な舞台裏を語り合う ▼推薦コメント▼ 続編として、滅多にお目にかかれないほど非の打ち所がないと形容しても言い過ぎではない出色の出来栄え。(映画.com副編集長 大塚史貴) お金も人も贅沢につかっていて大満足なエンタメ大作でした!このスケールの歴史スペクタクルアクションを映画館の大スクリーンで観られることに幸せを感じました。リドリー・スコット監督には長生きしていつまでも映画を撮っていてほしいです。 前作との繋がりを感じさせる胸アツシーンが随所にちりばめられていて、序盤からもう胸がいっぱい。コロッセオでの模擬海戦シーンも圧巻で、映画館を出たときの満足感がずば抜けてました。 【あらすじ】 将軍アカシウス率いるローマ帝国軍の侵攻により、愛する妻を殺された男ルシアス。すべてを失い、アカシウスへの復讐を胸に誓う彼は、マクリヌスという謎の男と出会う。ルシアスの心のなかで燃え盛る怒りに目をつけたマクリヌスの導きによって、ルシアスはローマへと赴き、マクリヌスが所有する剣闘士となり、力のみが物を言うコロセウムで待ち受ける戦いへと踏み出していく。 ■第2位 「関心領域」 2024年5月24日公開/105分/ジョナサン・グレイザー監督 「アンダー・ザ・スキン 種の捕食」のジョナサン・グレイザー監督がイギリスの作家マーティン・エイミスの小説を原案に、アウシュビッツ強制収容所の隣で平和な生活を送る一家の日々の営みを描いた作品。 2023年・第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門でグランプリ、第96回アカデミー賞で国際長編映画賞・音響賞を受賞し、世界中で高い評価を受けた本作。音の素晴らしさで映画館での鑑賞体験の価値を再認識させられます。 ▼推薦コメント▼ 映像が美しいのがひとつのポイント。奇妙さを際立たせており、内と外の世界の対比をもの静かに不気味に、そして、いつしか子どもたちの心までもをむしばんでしまうという恐怖を描いていました。 【あらすじ】 ルドルフとヘートヴィヒは幼い子どもたちとともに大きな庭のある自慢の屋敷で暮らし、休日には川遊びや釣りに出かけるなど絵に描いたような幸せを満喫していた。朝になるとルドルフは馬に乗ってすぐ隣の職場へ出勤する。その職場は、アウシュビッツ収容所。ルドルフは、収容所の最高責任者である司令官。収容所からは怒号、悲鳴が響き渡り、煙突からは煙が立ち上がっているが、ヘートヴィヒと子どもたちはその点については一切気にならない様子。ある日、ヘートヴィヒの母親が初めて屋敷を訪ねてくる。娘の贅沢な暮らしに感嘆するが、夜になると隣から聞こえてくる音に恐怖を覚え、早朝には挨拶もせず屋敷を出て行く……。 ■第1位 「ルックバック」 2024年6月28日公開/58分/押山清高監督 映画.comが選ぶ2024年の映画で1位となったのは、ひたむきに漫画づくりを続ける2人の少女の姿を描く青春ストーリー「ルックバック」。上映時間58分かつ全国一律1700円での公開と作品の評判はもちろん、その上映方法でも話題を集めました。 映画.comのレビューでも☆4.2と異例の高評価となっており、「胸が熱くなる」「文句なし」「最っ高」と絶賛レビューが相次ぎました。映画.comスタッフ間でも熱い感想戦が繰り広げられていました。 ▼推薦コメント▼ 「部屋から出してくれて、ありがとう」。このセリフをタイピングしている時も、ちょっと泣いている。久々に予告編を見返すともっと泣いている。思い返して感情が震える――これが“素晴らしい映画”である証拠。 たった58分なのに2-3時間見たかと思うほどの満足度でした!アニメ表現の素晴らしさはもちろんのこと、物語をドラマチックに演出する“音楽”、虫の音や雪を踏む音など自然を感じられる“音”にも心を揺さぶられました。 漫画を描く“静”のドラマを豊かなアニメーションで描ききる快作。俳優2人による声の演技、音楽も素晴らしく、中編アニメのひとつの理想形だと思いました。 努力、期待、挫折、成長、そのすべてが眩しくて泣けてきた。58分という短い上映時間が、主人公の2人が過ごした青春が刹那的で尊いものであることを象徴しているようで、エンドロールでも胸がぎゅっとなった。 【あらすじ】 学生新聞で4コマ漫画を連載し、クラスメイトからも称賛されている小学4年生の藤野。そんなある日、先生から、同学年の不登校の生徒・京本の描いた4コマ漫画を新聞に載せたいと告げられる。自分の才能に自信を抱く藤野と、引きこもりで学校にも来られない京本。正反対な2人の少女は、漫画へのひたむきな思いでつながっていく。しかし、ある時、すべてを打ち砕く出来事が起こる。 いかがだったでしょうか? 皆さんのお気に入りの作品もランクインしていましたか? 現在X(旧Twitter)では「#2024私の最推し映画」を募集中です、是非SNSで、2024年のお気に入り作品を教えてください。 2025年もすばらしい映画体験を! 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