電アシ自転車が学生の足代わりに 各メーカーが通学用販売強化 路線バス減便の影響も
電動アシスト自転車メーカーが通学用の販売に力を入れている。ドライバー不足や燃料費の高騰で、路線・通学バスの本数が減少している地域もあり、電動アシスト自転車が学生の足代わりとなっている。登場から30年以上が経過し、生活に身近な存在となり、利用を禁止する学校も少なくなっているという。メーカー各社は乗りやすさを訴求した新型モデルの投入で、さらなる販売の拡大を目指している。 ■10代男子学生で伸び ヤマハ発動機は18日、東京都内で電動アシスト自転車の説明会を開催し、通学向けの新型「PAS ULU(パス ウル)」を発表した。来年3月に発売し、価格は15万5千円。年間7千台の販売を目指す。 新型モデルは毎日使う高校生をターゲットに開発した。男女とも使えるスタイリッシュなデザインで、長距離通学を想定し、機能性を高めた。車体にスポーツ用で使うタフな骨太フレームを採用。タイヤの幅を広くして雨の日でも安定して操縦できるようにした。 同社の10代の電動アシスト自転車の登録者数は右肩上がりで伸びており、特に男子学生の利用率が高まっているという。商品企画を担当するeBIKEビジネス部の碓井紗和氏は「通学需要は今後も伸長が見込まれる」と期待を寄せる。 ■中学生の登録約4倍に 国内シェア首位のパナソニックサイクルテック(大阪府柏原市)も、10月から通学用「ティモ」シリーズの新モデルを順次投入している。全車種にタイヤの空気入れのタイミングを知らせる機能を搭載した。 また、同社の18歳以下のキャンペーンで、中学生の登録者数が過去3年で3・7倍以上となり、従来品よりもサドルの高さを下げた新商品を投入した。学生需要について、営業企画担当は「近年は塾通いなどの小学生にも広がりをみせている」と説明する。 ブリヂストンサイクル(埼玉県上尾市)も、長距離通学に適した「アルベルトe」の新モデルを11月下旬から発売する。走りながら自動充電できる機能を搭載する。学生の長距離通学をサポートし、充電の回数も減らせるという。 経済産業省の生産動態統計によると、電動アシスト自転車は2018年に国内出荷台数で、一般自転車を逆転した。それ以降、着実に台数を伸ばしている。
登場から30年以上が経過し、子供の頃に子乗せモデルに乗っていた世代が増えてきた。そうした世代が中高生となり、今では通学用で利用している。今後も通学用の需要拡大が見込まれており、メーカー各社の競争が激しくなりそうだ。(黄金崎元)