「オンとオフ」タイヤ2セットが標準 アウディQ8 eトロン・エディション・ダカールへ試乗 個性と楽しさプラス
ラリーマシンを彷彿とさせるラッピング
最新のアウディQ8 eトロン、「エディション・ダカール」を購入すると、タイヤが8本付いてくる。といっても、ドイツ・インゴルシュタットの腕利き技術者が、八輪駆動システムを開発したわけではない。 【写真】個性と楽しさプラス アウディQ8 eトロン・エディション・ダカール 競合クラスの電動SUV (120枚) この大型電動SUVには、オンロード用とオフロード用、2セットのタイヤが付属するのだ。砂漠を駆け抜けるダカール・ラリー・マシン、RS Q eトロンに影響を受けたQ8で、従来のQ8 eトロン 55からオフロード性能が引き上げられている。 99台の限定で、ボディ塗装は写真のミトス・ブラックのみ。ラリーマシンを彷彿とさせるグラフィックのラッピングが施され、英国での価格は約10万3000ポンド(約1905万円)が予想されている。 シングルフレーム・グリルは、ボディと同色のブラック。トレッドが広がり、オーバーフェンダーも拡大された。40kgの荷物を積めるルーフラックが載り、専用バッグとストラップも備わる。 Q8 eトロンで向かえる目的地は広がったものの、トヨタ・ランドクルーザーやジープ・ラングラーに迫るような、本格的なオフローダーに生まれ変わったわけではない。実力は強化されているが、高級SUVとして、上質さも保たれている。 ツインモーターが発揮する最高出力は、従来どおり407ps。駆動用バッテリーの容量も、106kWhで変わらない。
即座に生まれる太いトルク 走破性はかなりの水準
エアサスペンションは、オフロード・モード時の車高で標準のQ8 eトロンから30mmプラス。通常のドライブモードでは、65mm増しとなる。 付属するオフロードタイヤは、マッド&スノーのゼネラル・グラバーAT3。265/60とワイドで、ホイールサイズは18インチの8.0Jとなる。 路面とボディが接する角度は、フロントのアプローチ・アングルで21度。デパーチャー・アングルは28度を得ている。渡河水深は最大300mmが主張される。ただし、ボディのアンダーガードなどは追加されていない。 今回は、アラビア半島のオマーンに用意された、尖った岩が露出したテストコースを試乗させていただいたが、走破性はかなりのレベル。オフロードタイヤと持ち上げられた車高によって、しっかり悪路を楽しめる実力を得ているようだ。 硬い路面に砂が浮いた区間では、高めの速度域で気持ちよく滑らせて遊べる。急な上り勾配では、即座に立ち上がる67.6kg-mという太いトルクを活かし、約2.5tのボディを軽々と引き上げていく。 下り勾配で速度を安定させるヒルディセント・コントロールも、非常に有能。路面のクリアランスや車両の傾きを教えてくれる、メーターも装備される。ただし、試乗車では機能していなかった。