【速報】スズキの2気筒スポーツ「GSX-8R」速攻インプレ! スズキの良心が詰め込まれた真のオールラウンダー
鼓動感あるエンジンは高回転で振動が消える!
スズキは、最新の270度クランク並列2気筒エンジンを搭載するフルカウルスポーツバイク「GSX-8R」を1月25日に発売した。メーカーから広報車をお借りできたので、さっそくレポートをお届けしたい。 【写真】スズキ「GSX-8R」ディテール解説と全スタイリング
GSX-8S、Vストローム800DE、Vストローム800に続く同エンジン系の第4弾!
スズキの最新エンジンである270度クランクの775cc並列2気筒エンジンは、2022年秋の発表時からネイキッドのGSX-8SとアドベンチャーモデルのVストローム800DEが2本立てで登場しており、さらなるバリエーション展開は既定路線と思われていた。 そしてやはり、2023年秋にはVストローム800(無印)が登場し、さらにEICMA 2023ではフルカウルを装備したスポーツモデル「GSX-8R」が世界初公開された。 搭載するエンジンはネイキッド仕様のGSX-8Sと共通で、最高出力やWMTCモード燃費、さらには各ギヤの変速比まで全て同一。スズキ独自のクロスバランサーを装備したことにより、鼓動感は生かしつつ低振動に定評がある。 ──GSX-8R ●2024年1月25日発売 ●114万4000円 ──GSX-8S ●2023年3月24日発売 ●106万7000円 GSX-8Sとの主な違いは、面積少なめのフルカウルを装備し、トップブリッジ上にマウントされるセパレートタイプのハンドルを採用していること。これにともない、全幅&全高の寸法が変わっているほか、ハンドル切れ角は8Sの35度から32度に減少し、最小回転半径は2.9mから3.2mへとやや大きくなった。ミラーはカウルマウントになっている。 そんなGSX-8Rの広報車を借り出し、100km以上の行程を試乗してきた。印象は、『実直、素直さ、良心的』だ。トルクフルで扱いやすいエンジンを軸に、すべてが自然かつ配慮の行き届いた仕上がりとなっていた。
3モード設定可能なエンジン、優しくて速い
GSX-8Sと同スペックのエンジンだが、相変わらずの安定感。セルフスターターで軽く目覚め、すぐにアイドリングが安定する。スロットルを軽く空吹かししてみると、レスポンスにさほど鋭さはなく、なんとなく地味な感じがする。じつは、これがこのエンジンの面白いところだ。 少し暖まってきたので節度のあるシフトタッチを感じながら1速に入れ、1500rpm程度のアイドリングのままクラッチを繋ごうとすると、ローRPMアシストシステムによってわずかにエンジン回転が上がる。そのままスルスルと走りだし、2000rpmも回っていればスロットルを大きく開けてもギクシャクしない。爆発(正確には燃焼)による鼓動感はあるものの、スズキ独自のクロスバランサー採用のおかげか振動は少ない。 エンジン回転に質量感がある……というとわかりにくい表現かもしれないが、簡単にはエンストしそうにない気配。おそらくやや重めのフライホイールを採用しているのだろう。個人的にかなり好みのフィーリングだ。 スズキがかつてS-DMS(スズキドライブモードセレクター)で先鞭をつけたエンジンのパワーモード制御は、最新モデルでもSDMS(ハイフンが外れている)として継承している。まずは一番優しいCモード(コンフォート)で走ってみると、とにかくマイルド。疲れたときや雨などの悪コンディションで使えそうな穏やかなエンジン特性だ。 ──自然に穏やかに走りたくなるのがCモードだった。