岸田首相、自民総裁再選へいばらの道-定額減税も支持率回復は望み薄
24年度に所得が物価上回る見通し、減税で脱デフレ視野-政府試算
物価高の影響による消費の低迷がこの1年、景気の足を引っ張っている。10日に発表される1-3月期の実質GDP改定値では、個人消費は前期比0.7%減が見込まれている。今年の春闘では賃上げ率が33年ぶりに5%を超えたが、本格的に給与に反映されるのはこれからだ。
同時に政府は物価高対策として実施していた電気・ガス代の補助金を5月使用分で終了。一方、再生可能エネルギーの普及に向け消費者に負担増を求めている。
第一生命経済研究所の新家義貴シニアエグゼクティブエコノミストは、補助金の終了と再生可能エネルギー発電促進賦課金の単価の大幅引き上げの影響により、標準的な家庭で年3万2300円程度負担が増えると試算した。
定額減税に対応するための事務作業の大幅増加に批判が集まるとともに、低所得者向けの給付は数カ月にわたる支払いとなるため、満足度はさらに薄れるだろう。
JNNの世論調査によると、政治資金問題が長引く中、岸田内閣の支持率は6月に25.1%に低下。定額減税については回答者の約60%が評価しないと答えた。
もっとも自民党内に明確な総裁候補は見当たらず、岸田氏が再選する可能性は高い。そうなれば25年まで総選挙を行う必要もない。
原題:Kishida’s $35 Billion Handout Unlikely to Pave Way for Election(抜粋)
--取材協力:野原良明.
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Erica Yokoyama