「ノー」と言えるリーダーが優れている理由
成功するリーダーと、存在感のないフォロワーを分かつのは、戦略的な意思決定を、素早くかつ効果的に下せる決断力だ。 これまでは、常に「イエス」と応じるリーダーが、融通が効き、いかなるチャレンジをもいとわない人間として高く評価されてきた。しかし、そうした姿勢は得てして、戦略的な意思決定を妨げ、集中力とリソースを削ぐことになる。 新たなタイプのリーダーは、「ノー」を言うことを恐れない。そして、その断固としたアプローチが、生産性を向上させ、さらなるイノベーションを呼び込むことを示している。 何でも「イエス」と応じる従来型リーダーモデルの根底には、すべての要望を受け入れることが成功への道だという考え方がある。前向きな姿勢だと思えるかもしれないが、その先には、いくつかの落とし穴が待っている場合が多い。 ・集中力が削がれる:リーダーがあらゆる要望にイエスと答えていたら、リソースと注意力が複数の事柄に広く浅く分散されてしまい、徹底した実践が行えない ・燃え尽きる:あらゆる要求にひたすら応じているうちに、チームは、負担の重さに耐えきれず燃え尽き、士気が低下してしまう ・効率的でない:手掛けているプロジェクトが多すぎると、優先順位を明確にしないまま、チームがさまざまなタスクをやりくりすることになるので、なかなか先に進めなくなる リーダーが何にでもイエスと応じるアプローチは結局、先のことを考えた積極的なマネジメントスタイルとは言えない、受け身のマネジメントスタイルにつながりかねない。つまり、リーダーとチームは、戦略的に計画を立てるというより、もっぱら対症療法的な仕事しかできなくなるのだ。 ■「ノー」を言うことで得られるメリット 「ノー」と言えるリーダーは、不要なタスクや邪魔なものをまず切り捨てて、チームがインパクトの大きい目標に取り組めるよう合理化する。こうした姿勢には、いくつかの大きなメリットがある。 ・集中力が高まる:優先度の低いタスクにノーと言うことで、リーダーは、真に重要性の高い仕事にリソースを集約し、より深く、より有意義に物事を前進させることができる ・生産性が向上する:邪魔なタスクが減れば、チームの効率性が上がり、より短時間でより良い成果を達成できる ・イノベーションが促進される:主要な目標に焦点を絞れば、的外れなタスクで時間をとられることがなくなり、創造的思考とイノベーションのための余裕が生まれる