日米共同演習、世界自然遺産の山中も訓練地 自然保護団体は疑問視「なぜ、わざわざ…」 立ち入り規制なく環境省も「異存なし」同意
自衛隊と米軍が10、11月に実施した日米共同統合演習で、世界自然遺産登録地となっている鹿児島県・徳之島の井之川岳も訓練地となっていたことが19日、分かった。環境省によると、山中には希少な動植物が生育しているが、立ち入りは規制されていない。 【写真】〈関連〉伊仙町の犬田布岬で無人偵察機の発射台を準備する自衛隊員。左奥は戦艦大和の慰霊碑=10月24日
防衛省統合幕僚監部によると、10月23~25日、井之川岳山中を移動しながら偵察訓練などを行った。実際に登録地内で訓練したかどうかは「担当者が不在で確認できない」としている。計画では同じく登録地の天城岳と犬田布岳も訓練地となっている。 環境省によると、登録地は自然公園法の対象で、動植物の捕獲・採取など許可が必要な事項が定められている。山中に立ち入り、林道などを歩く行為に規制はない。環境省は防衛省と協議し、訓練に「異存はない」と回答したという。 世界自然遺産に登録された「奄美・沖縄」4島で徳之島の遺産地域は最も面積が小さく、人里に近い。自然保護に取り組むNPO法人「徳之島虹の会」の美延睦美事務局長(61)は「保全に一層の努力が求められる地域。なぜわざわざ徳之島の山中で訓練をするのか」と疑問視した。
南日本新聞 | 鹿児島
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