ウクライナ、ロシア本土を攻撃…プーチン大統領「民間人の無差別攻撃、交渉不可能」
ウクライナが、ロシア本土を侵攻した軍事作戦で1000平方キロメートルを統制下に置いていると主張した。ウクライナ軍の逆襲はロシア軍の兵力分散や攻勢弱化などを狙ったものだとする分析が出ているが、長期間続ける場合、かなりの危険が伴う。 ウクライナ軍のオレクサンドル・シルスキー総司令官は12日(現地時間)、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領とのテレビ会議で、「クルスク地域の1000平方キロメートルを統制下に置いている」と述べた。ロイター通信が報じた。これはソウルの面積(605平方キロメートル)の約1.65倍の規模に相当する。ロシアのクルスク州のアレクセイ・スミルノフ知事代行も、28の集落がウクライナ軍に統制されていることを明らかにした。ロシアが認めたウクライナ軍の占領地の面積は、ウクライナ側の主張の半分程度にすぎないが、ロシアも被害を認めている。 これに先立ち、6日からウクライナ軍は、国境を越えてロシア南西部のクルスク地域への攻撃を開始し、占領地域を拡大している。2022年2月末のウクライナ戦争勃発後、ウクライナがロシア領土を攻撃したことは以前にもあったが、ウクライナ正規軍が大挙動員されてロシア領土内で地上作戦を行うのは今回が初めて。今回の攻撃に参加したウクライナ軍第82空挺旅団所属の軍人は、英国フィナンシャル・タイムズに、作戦初日の6日にロシア領土に入ったとき、ロシアの軍人たちが「テーブルでコーヒーを飲んでいた」として、「私たちの装甲車がテーブルに突進した」と述べた。ウクライナ軍の攻撃に押されたロシアは、クルスクとベルゴロドから自国民13万人あまりを避難させた。 ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は12日、モスクワ郊外のノボ・オガリョボ地域で、セルゲイ・ショイグ安全保障会議書記やマラト・フスヌリン副首相、ロシア軍のワレリー・ゲラシモフ総参謀長らが参加した会議を開催して対策を議論したと、ロシア大統領府が明らかにした。プーチン大統領は会議で、ウクライナ軍の目標が「今後開かれる可能性のある平和会談で交渉力を高めるためのもの」だとし、「敵は疑う余地なく、相応の(ロシア軍の)対応を受けることになるだろう」と述べた。また、プーチン大統領は、ウクライナ軍の2つ目の目的は、ウクライナ東部のルハンスク地域とドネツク地域で、ロシア軍の進撃を止めるための軍事的目的だと述べた。さらに、ウクライナ軍が「(ロシアの)国内政治の状況を不安定化させようとしている」とも述べた。西側でも、ウクライナ軍の逆襲は、ウクライナ東北部の第2の都市ハルキウや東部のドネツク州やルハンスク州などで攻勢となっているロシア軍の兵力分散・消耗、そしてロシア軍の攻勢弱化を狙ったものだとする分析が出てくる。 ウクライナ軍は今回の逆襲で、少なくともロシアの虚を突くことには成功したとみられる。しかし、米国のシンクタンク「戦争研究所」(ISW)は、ロシアがウクライナ東部で最前線の兵力を再配置する兆しは現時点ではみられないと指摘した。ロシアに比べて物資と兵力が不足するウクライナ軍が、防御する側よりはるかに多くの資源を動員する必要のある攻撃作戦をいつまで続けられるのかについては疑問だ。ウクライナ軍がロシア領土内でさらに深く進撃した場合、補給で困難に直面することになり、最悪の場合は孤立することになりうる。また、ロシア軍がウクライナの民間人と民間施設に対する攻撃を強化し、ウクライナの被害がさらに激しくなることへの懸念もある。 ベルリン/チャン・イェジ特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )