カードゲームをしながら、自らの死生観を紹介し合う参加者＝鹿児島市のマルヤガーデンズ

　お茶を飲みながら「死」について語り合う「デスカフェ」が鹿児島市で開かれた。「死をどう捉えるか」「死ぬ前に何をしたいか」。日常では話題にしにくいテーマについて、宗派や年代、性別にかかわらずざっくばらんに話すことで、自らの生き方を見つめ直す試みだ。 【写真】〈別カット〉カードゲームをしながら、自らの死生観を紹介し合う参加者＝鹿児島市のマルヤガーデンズ

　マルヤガーデンズに２０日、男女８人と僧侶６人が集まった。県内の浄土真宗６宗派の寺院でつくる真宗教団連合鹿児島支部が開くカフェ。３グループに分かれ、カードゲームを介して「余命半年だとしたら、何を大切にしたいか」を考えた。 　「自らが望む形で治療やケアをしてもらえる」「呼吸が苦しくない」「尊厳が保たれる」など願いや希望が書かれたカードを基に、それぞれが大切にする価値観や死生観を語る。「死ぬ間際は自分を理解してくれる人と一緒にいたい」「ひっそりと消えていくのが理想」「人の役に立ちたいので、臓器移植や献体の手続きをするつもり」…。対話は１時間半にわたって広がり、時折笑い声も響いた。 　初めて参加した鹿児島市の福山千波さん（５９）は「商業施設での開催だったので気軽に参加できた。深刻なテーマだが重い雰囲気にならず、みなさんの経験や考えが聞けて参考になった」と話す。 　支部に属する西本願寺鹿児島別院がデスカフェを始めたのは２０２１年６月。新型コロナ下で「誰とも話せず生きづらさを抱える人が多かった。そんな人に寄り添う手段はないか」と検討し、京都などで開催されていたデスカフェを参考に企画した。別院の僧侶、山崎弘純さん（３５）は「若い人たちにも参加してもらいたいと、あえてインパクトのあるテーマにした。ネガティブな話題をポジティブに語ることで改めて生きる意味に向き合ってほしい」と語った。

　支部では年に数回デスカフェを開く。本年度はさらに９月に姶良市、来年１月に鹿屋市、３月に枕崎市で予定している。問い合わせは、西本願寺鹿児島別院＝０９９（２２２）００５１。