似顔絵が描かれた横断幕を見れば落ち着く。前橋育英の久保遥夢は松田直樹を心からリスペクト「CBは最後に身体を張る。教えてもらいました」【選手権】
偉大な先輩に背中を押してもらった
[高校選手権・決勝]前橋育英(群馬)1(9PK8)1 流経大柏(千葉)/1月13日/国立競技場 【動画】激闘のファイナル、両校優勝にしたい! 前橋育英vs.流経大柏ダイジェスト 前橋育英が輩出した過去最高のCBと言えば、松田直樹氏だ。卒業後の1995年に加入した横浜マリノスではルーキーイヤーから活躍。96年と00年の五輪、02年の日韓ワールドカップにも出場した。 そんな偉大な先輩を追いかけるのが、前橋育英の2年生DF久保遥夢だ。今回の高校サッカー選手権では1回戦からフル出場を続け、PK戦までもつれた流経大柏とのファイナルでも最後までピッチに立ち、7大会ぶり2度目の優勝に貢献した。 エアバトルで強さを発揮し、球際の勝負でも一歩も引かない。カバーリングも秀逸で、ここという場所に入り込んでピンチの芽を摘み取った。 PK戦ではサドンデスに入った9人目でキッカーを託されたが、全く動じない。「前日練習でもPKは決めていたので、外すイメージはなかった」と、“外したら終わり”のシュチュエーションでも落ち着いて成功させた。 下級生ながら主軸を担った久保は、日本一の事実に喜びを噛み締めていたが、戸惑いもあった。 「終わった後は本当に実感がなくて、日本一を取ったのかなって思う。こうやって取材されたり、金メダルを見ると、日本一を取ったんだなって感じます」 CBとしてチームを後方から支えてきた背番号20は、前回優勝した17年度大会を見て前橋育英への進学を決断した選手のひとり。そこで知ったのが、松田氏の存在だったという。 「前橋育英のセンターバックと言えば、松田さん。自分が松田さんの存在を知ったのは育英に入ってからなんですけど、ここでセンターバックを任されている限り、リスペクトしかない。それくらい凄い選手なんです」 特に尊敬しているポイントは“気持ちの強さ”。リアルタイムでプレーを見たことはもちろんないが、映像に触れるだけで松田氏の闘志溢れる振る舞いに目を奪われた。 「山田耕介監督がよく松田さんの話をしてくれていて、それで僕も気になってYouTubeとかで動画を見たんです。やっぱり凄くて、気持ちの強さを感じた。センターバックは最後に身体を張らないといけない。そういうところを教えてもらいました」 試合で緊張すると、今でも松田氏の似顔絵が描かれた横断幕に目をやる。そうすると、不思議なことに気持ちが落ち着く。決勝では今までにないくらいのプレッシャーを感じていたが、仲間の声で冷静になったのはもちろん、偉大な先輩が自分の背中を押してくれた。 2年生で選手権優勝を成し遂げたが、高校サッカーはあと1年残っている。もちろん、次なる目標は連覇しかない。「2年生で経験できたことは素晴らしいんですけど、これで満足してはいけない。来年、この舞台に戻ってこれるようにしたいです。2年生で試合に出ていたメンバーが多いので、(次のシーズンに向けて)もう1回、話し合っていきたい」とは久保の言葉。松田氏の魂を受け継ぐCBの戦いがまた始まる。誰からも頼られる男になって、もう一度、選手権の舞台に立つ。 取材・文●松尾祐希(サッカーライター)
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